KOBEに新風…「加工」の拠点から「産地」へ名乗り 神戸産の真珠、商品化に成功

須磨の真珠を商品化したネックレスとイヤリングのセット=須磨区須磨浦通6、須磨浦漁友会

 豊かな兵庫・須磨の海が、神秘的に輝く宝石を育んだ。神戸産真珠の養殖に挑戦してきた地元漁師たちが今冬、「Kobe SUMA PEARL」として商品化にこぎつけた。国内産の加工や輸出を手がける拠点だった「真珠の街・神戸」を産地としても盛り上げる狙いで、漁師たちは「国内の主要産地に引けを取らない」と品質の高さに太鼓判を押す。(段 貴則)

### ■漁業者 養殖に挑戦、品質に自信

 真珠はアコヤガイなど二枚貝が育み、伊勢志摩など日本は世界的な産地。国際貿易港がある上、海と六甲山に挟まれ、真珠の選別に欠かせない豊かな自然光に恵まれた神戸は、選別や加工、輸出の拠点となった。

 「真珠の街なのに、神戸で育った真珠がない」。須磨の漁業者らでつくる「すまうら水産有限責任事業組合」は2017年ごろから、須磨の海での養殖に取り組み始めた。1年目は順調だったものの、3年目は赤潮で全滅。自然相手の難しさを改めて痛感したが、挑戦を続けて満足いく真珠が育った。真珠の巻(真珠層)が厚く、ムラが少なく、キリッとした色合い。同組合の若林良代表は「貝のエサとなるプランクトンが豊富な須磨の海で順調に育つことが確認できた」と話す。

 今月23日、貝から真珠を取り出す浜揚げ体験と販売会を開催。8ミリサイズの真珠を使ったネックレスとイヤリングのセット(70万円)など商品を並べた。

 貝に真珠の核を入れる作業は志摩の業者、採取後の前処理などは神戸の業者が担うが、養殖や製品化、販売を同組合が手がけ、品質管理にこだわる。若林代表は「志摩の真珠業者に応援してもらっているが、須磨で核入れまでやれるようになればおもしろい」と話す。来年をめどに、同組合直売所(須磨海岸)で価格1万円台など手頃な値段の商品を販売する予定という。

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