タンタンの中国返還、1年延期 神戸・王子動物園のパンダ コロナ流行や心臓疾患の治療で5度目

飼育契約が再延長され、神戸での年越しが決まったジャイアントパンダのタンタン=9月、神戸市灘区王子町3、市立王子動物園

 神戸市立王子動物園(神戸市灘区)は27日、中国への返還期限が今月末に迫っていたジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」(雌、28歳)の飼育契約を2024年末まで1年間再延長すると発表した。21年春に判明した心臓疾患の治療が続いており、帰国のための輸送にはリスクが伴うと判断した。20年の返還決定から5度目の延長となる。

 00年に来園したタンタンは、20年7月に借り受け契約が一度終了し、故郷の四川省に戻る予定だったが、新型コロナウイルスの流行で直行便がなくなり延期に。心臓疾患の治療もあり、22年3月からは一般観覧が中止されている。

 同園によると、タンタンは国内最高齢のパンダで、人間なら80代。病状は比較的安定しているが、最近は加齢の影響もあって食欲が低下し、1日の活動時間が100分程度に減ったという。中国から来日した獣医師のアドバイスも受けて、慎重に治療を続けている。

 会見した加古裕二郎園長は「病気の進行を遅らせるにはタンタンのストレスを軽減することが必要。一般観覧は難しいが、日中で協力して治療に取り組んでおり、温かく見守ってほしい」と語った。(井沢泰斗)

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