雪なき但馬、嘆きの冬 年末のスキー場営業わずか2カ所 地肌あらわ、一時7カ所オープンも休業相次ぐ

地肌が露出する「アップかんなべ」のゲレンデ=兵庫県豊岡市日高町栗栖野

 年末年始の書き入れ時に入り、兵庫県北部の但馬地域にあるスキー場が、雪不足に苦慮している。但馬2市2町に11あるスキー場のうち、29日以降に営業を続けられるのは2カ所にとどまるほか、今季に一度も営業できていないところが4カ所ある。今後も気温が高めに推移する日が続く見込みで、関係者らはまとまった降雪を待ち望んでいる。(丸山桃奈、斎藤 誉、阿部江利)

 11のスキー場や各ホームページなどによると、今季はいずれも23日のオープンを予定したが、当日に開設できたのは3カ所にとどまった。23日までの寒波で、沿岸部を中心にまとまった雪が降り、一時は7カ所がオープン。各スキー場とも滑走できるゲレンデを何とか維持した後、気温が上がって雪が解け、相次いで休業に追い込まれている。

 23日にオープンした豊岡市日高町の「アップかんなべ」は、28日から休業に入った。営業できたのは5日間。入り込み客数は例年より少なかったが、海外からのスキー客が多かった。寒波では期待したほどの積雪はなく、西垣翔太支配人(34)は「5日間だけでも営業できてよかったという思いと、たった5日間しかできなかったという思いが両方ある。定期的に天気予報を確認し、降雪を期待するしかない」と話す。

 アップかんなべを含め、三つのスキー場がある日高神鍋観光協会の岡藤泰明会長も「悲しいね。あと30、40センチほど降ってくれたら、よいお正月を迎えられていたのに…」と肩を落とす。「暖冬傾向なので、短期間でも雪があるときには営業しておかないといけない。積雪を願うしかない」と話した。

 24日に営業を始めた同県香美町小代区の「おじろスキー場」も雪が少なく、29日から休業する。最終営業日となった28日の積雪は約15センチ。営業再開の目安を50センチに設定するが、めどは立っていない。標高が低い場所を中心に地面が顔をのぞかせており、スキー客はこの日、雪のない所を避けて滑走していた。

 10歳の息子と訪れた藤城功さん(48)=同県加西市=は「正月休みにまた来ようと考えていたので残念」とがっかりした様子。和歌山県の会社員大江和志さん(30)は「雪不足で、利用できるスキー場が限られるのは寂しい。営業できるところに人が集まり、混雑して滑りづらくなるのではないか」と不安がる。

 兵庫県但馬県民局によると、昨シーズンは1月中旬や春先に融雪が進み、例年より営業日数が少なかったものの、年末年始は営業ができていた。神戸地方気象台によると、今後2週間の豊岡の気温は、平年より「かなり高い」という予報の日が多く、最高気温も10~15度を見込む。

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