砺波でスキー、1年中どうぞ 1月にも人工ゲレンデ無料開放 高岡の歯科医、私財投じ

設営が進む人工ゲレンデ=砺波市東保

  ●三つの球体組み合わせ、雪なくても滑走

 砺波市東保で年間を通してスキーやスノーボードなどを楽しめる「おもしろ人工練習場」の設営が進められている。雪がなくても、スキー場に行かなくても身近な場所で1年中滑走が楽しめる環境をつくろうと、スキー歴50年余の歯科医が私財を投じ、「研究の集大成」として自身が開発した球体を使った人工斜面のゲレンデを設置。早ければ1月中旬にもオープンし、地域に無料開放される。

 おもしろ人工練習場を設営するのは、高岡市駅南2丁目のながひさ歯科クリニック院長で、ケイ・クリスタル研究所代表の長久巧一さん(66)。いとこで、タイセー(砺波市東保)の長久正一社長(74)の敷地を借りて開設する。

 ゲレンデはいずれも高さ3.5メートル、幅5メートルで、全長32メートルの直滑降用と、全長25メートルのスラローム用の2種類。足場を組み、ベニヤの上に特殊なクッション材を張り、ゴルフボール状の3種類のプラスチック球を並べて考案した「クリスタルゲレンデ」を敷設する。

 長久さんは長年、雪の構造と滑りの仕組みの研究に携わり、上下二重のピラミッド構造と八角柱を並べた「ハニカム構造」の研究から、約30年前に三つの球体を組み合わせて雪がなくても滑走できる人工ゲレンデを開発。かつては射水市の太閤山ランドをはじめ、千葉県市川市や愛知県安城市のほか、韓国でも設置されたが、現在は経年劣化などから撤去され、国内では砺波市だけとなる。

 スキー人口が減り、暖冬傾向で降雪も少なくなる中、長久さんはスキー場に行かなくても近場で手軽に滑走を楽しんでもらおうと、人工練習場を設営することにした。原則、土、日曜日に地域に開放する。正一さんの子で県スキー連盟の琢磨さん(43)や、孫で元国体スキー選手の皓央さん(19)ら指導者がいる場合は平日でも利用できる。

 長久さんは「自分の夢を現実にして残したい。皆さんに利用していただき、楽しんでほしい」と話した。

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