被爆者ら訪米「有意義な旅だった」  ヒバクシャ・ミライ・プロジェクト第1弾

米国での経験を語る三田村さん=長崎市平野町、長崎原爆資料館

 核兵器廃絶の機運を高めようと、米国の3都市を回り市民に被爆の実相を伝えた県被爆者手帳友の会の被爆者らが22日、長崎市内で報告会を開いた。参加者8人が登壇し、会場の市民約40人と核なき世界への思いを強めた。
 被爆者運動の継承を目指す活動「ヒバクシャ・ミライ・プロジェクト」の第1弾として、被爆者3人と被爆2、3世ら計10人が11月6~20日の日程で訪米した。
 自身の被爆体験を題材にした紙芝居を披露した三田村静子さん(82)は、涙を流して感想を伝える学生や市民と出会い「紙芝居は目で見て心で訴えるのがよかったのだろう」と実感。「米市民の反応に、長年やってきてよかったと思えた。有意義な旅だった」と感慨深げに振り返った。
 旅程の管理などを担当した被爆2世の大瀧知子さん(62)は米国では原爆投下の事実が客観的に話せる時代になっていると語り、「この1回で結果が出るとは思わないが、若い人が覚えていてくれたら、それが正解。行動した価値があった」と述べた。
 平和活動に取り組む若い世代を代表して参加した被爆3世の山口雪乃さん(21)は印象的な出来事として、現地の高校生から「議論の余地はあるが、核兵器がないと米国じゃない」と言われたことを紹介。「核廃絶を掲げる私たちに、(高校生が)反対意見だとしても自分の意見を言えたのは、(被爆者や若者など)いろんな人で構成する訪問団だったから。大きな成果の一つ」と語った。
 渡米の様子は映像にまとめ、後日上映する予定。

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