埼玉最大級の規模!総事業費122億円で巨額、7階建て新施設で産廃発電処理へ 倍増する能力、驚きの施設内 シタラ興産、金融団と融資契約 26年8月末に完成予定 周辺地域にも売電、ラジオ局スタジオも設置へ

「レガリア」の完成予想図(シタラ興産提供)

 産業廃棄物処理のシタラ興産(埼玉県深谷市)は同市上野台に来年5月に着工する一般・産業廃棄物発電処理施設「レガリア」のシンジケートローン契約式を25日、深谷市内で行った。総事業費は約122億円と巨額になることから、群馬銀行(前橋市)と埼玉りそな銀行が幹事となり、武蔵野銀行を含めた県内外10の金融機関が協調してシンジケート団を組成。環境改善効果のある事業に使途を限定する「グリーンローン原則」に準拠して120億円を融資し、プロジェクトを進めていく。

 新施設は鉄骨造7階建てで、焼却炉1基、蒸気タービン1基を備える。延べ床面積約5787平方メートル、敷地面積約7167平方メートルと単体炉では県内最大級となる。

 プラントは荏原製作所の独自技術「TIF流動床焼却炉」を導入。炉内に充てんした流動砂の下部から空気を送り流動層を形成。高温の砂が炉内を還流することで温度の均一性や高伝熱特性により、一般ごみのほか、廃液などの低発熱量廃棄物から廃油、廃タイヤ、廃プラスチックなどの高発熱量処理物まで1つの炉内で混焼処理が可能。掘りおこしごみ、し尿や下水汚泥との混合処理にも適している。

 また、焼却時に発生する排熱を使って施設内の全電力をまかなう“サーマルリサイクル”機能を備え、温室効果ガスの排出量を発電設備のない従来施設比で約9分の1に削減。余剰電力は市内の新電力会社「ふっかちゃんでんき」を介して周辺地域にも売電し、地産地消にも貢献する。1時間当たりの発電量は県内最大級の3200キロワットとなる。

 シンジケート団を代表して群馬銀行の広田敦常務執行役員は「将来の飛躍に向けた新たなスタートに貢献できてうれしい」、埼玉りそな銀行の三田大介執行役員県央・北地域営業本部長は「新たな社会価値をもたらすこのプロジェクトを全力でサポートしたい」と述べた。

 シタラ興産の設楽竜也社長(44)は「(金融機関の方々から)私たちの夢の実現に向けた切符をいただいた。社会から求められ必要とされる会社となるよう情熱と真心をもって何事も取り組みたい」と決意を新たにした。

 廃棄物受入棟など施設全体の施工は関東建設工業(群馬県太田市)が担当。プラント部分は荏原製作所の子会社、荏原環境プラント(東京都大田区)が請け負う。

 1日当たりの処理能力は焼却施設が約230トン、破砕施設が約4712トン。24時間連続運転可能で、敷地内には電気自動車の充電ステーションを整備する。建物内には地元エフエムラジオ局のサテライトスタジオを設けるなど、地域住民の交流の場としても開放される。2026年8月末に完成予定で、新施設の稼働により同社の年間処理能力は約7万トンから14万トンに倍増する。

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