ウミガメ救助、まるで浦島太郎!? 白山・徳光海岸、網で動けず…自力で海へ

住民に救助され、海へ向かうアオウミガメ=白山市の徳光海岸(中村さん提供)

 白山市の徳光海岸で今月4日、漂流物の漁網に絡まって動けなくなっている体長約60~70センチのウミガメを住民が発見し、救助した。カメの体には何重にも網が巻き付き、ペットボトルやポリタンクなどたくさんのごみを巻き込んでいたが、住民の助けにより、海へ泳いで帰った。まるで、おとぎ話の浦島太郎のような光景で、住民は「海のごみを減らす大切さをあらためて教えられた」と救出劇を振り返った。

 海岸を散策していた近所の高齢男性が4日、網の中でもがいているウミガメを見つけ、付近を見回っていた松任海浜公園の管理人中村嘉成さん(71)に伝えた。

 中村さんは事務所にあった鎌で、カメの首に何重にも巻き付いた網を切って救出した。体には傷や出血があり、衰弱のためか、網を取り除いても、ほとんど動かなかったという。海に帰そうとしても何度も波に流されて浜辺に戻ってきたが、最後は自力で泳いで海に戻っていった。カメを発見してから見送るまで1時間半かかったという。

 日本ウミガメ協議会(大阪府枚方市)によると、救助されたのは環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている「アオウミガメ」とみられる。小笠原や南西諸島など温暖な海域で産卵、ふ化する。夏場は日本海近郊を回遊する姿も見られるが、冬場に発見されるのは珍しい。網に絡まり、うまく遊泳できずに石川県沖まで流され打ち上げられた可能性があるという。

 徳光海岸では毎年多くのボランティア団体や地域住民らによって海岸清掃が行われている。中村さんは、身動きがとれなくなっていたウミガメの悲惨な姿に、海のごみは生物の命に関わる問題だとあらためて実感したという。「海の生き物を守るためにも継続して清掃活動を行い、海の美化に取り組んでいきたい」と話した。

漂流物の漁網に絡まっていたアオウミガメ(中村さん提供)

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