親子3代調教師リレー 金沢競馬・佐藤さん 長男がJRA試験合格、父は上山で1000勝以上

金沢競馬で20年目のシーズンを送った佐藤調教師=12月25日

 金沢競馬の佐藤茂調教師(64)の長男悠太さん(35)が、日本中央競馬会(JRA)の調教師免許試験に合格した。父の姿に憧れ、7回目の挑戦で夢を果たした。佐藤さん自身も上山(かみのやま)競馬(山形県)の調教師だった父の背中を追って調教師となり、同競馬の廃止で金沢に移り、今月に地方通算2千勝を達成した。「拾ってくれた金沢に感謝の気持ちしかない」。東北で始まり、金沢で花開いた調教師一家のリレーは中央に受け継がれる。

 佐藤さんの父・英一さんは20年前に廃止された上山競馬で千勝以上を挙げた調教師。秋田県の実家は家畜商を兼職する農家で、佐藤さんは身近に馬のいる環境で生まれ育った。

 佐藤さんは子どもの頃、ジョッキーでもあった英一さんに憧れ、騎手を目指したが、体格が大きくなり断念。目標を調教師に切り替え、英一さんの勧めで東京の高校へ進み、北里大で畜産を学んだ。

 父と同じ上山競馬の調教師となったのは36歳の時。順調に勝利を重ねたが、同競馬場は市の財政難で9年後の2003年に廃止となった。翌年、金沢競馬に移籍し、今月19日に金沢で2人目となる地方通算2千勝を達成した。

 悠太さんは上山市出身で大学卒業後、栗東の厩舎(きゅうしゃ)で調教助手を務めてきた。今月7日に合格発表があった調教師免許試験で、応募者133人のうち合格者9人という狭き門を突破した。

 「馬と人を育てて初めて調教師と言える」。佐藤さんは英一さんからそう教わった。悠太さんも「馬と人を大切にし、信念を持って馬づくりに励みたい」と抱負を語った。

 金沢競馬に移って来春で20年。佐藤さんのふるさとの地名は「金沢(かねざわ)」だった。「不思議な縁を感じます」という佐藤さんは「まずは経験を積んでほしい」と3代目にエールを送った。

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