山形市が市中心部で調査した2023年の歩行者通行量は、現行の方式で記録を取り始めてから最多となったことが分かった。近年は新型コロナウイルス禍や旧大沼山形本店の閉店で落ち込んでいたが、回復の兆しが出てきたとみられる。創造都市の発信・交流拠点「やまがたクリエイティブシティセンターQ1」など、さまざまな施設整備が効果を発揮している模様だ。
市が08年に中心市街地活性化基本計画を策定して以降、毎年秋に2日間、JR山形駅や七日町周辺など計10地点で計測している。調査時間は午前9時~午後5時で、23年は10月7日と28日に実施した。この2日間の平均は2万4572人と過去最多で、コロナ禍前に続いていた2万人台の水準にも戻った。
10地点のうち8地点で前年を上回り、最も通行量が多かったのはアズ七日町で76%増の4861人だった。建物内にある市立図書館中央分館と中央公民館の改修工事が9月に完了し、高校生ら若い世代が滞在しやすい空間に生まれ変わったことが大きいとみられる。
大丸屋商店(本町1丁目)では前年比36%増の1944人だった。近くには22年にオープンしたQ1があり、来館者は23年5月に10万人を突破している。カフェやレンタルスペースなどを備え、人を呼び込む施設の存在が街歩きをする人の増加にも寄与しているようだ。
一方で観光複合施設「山形まるごと館 紅の蔵」は前年比21%減の711人と伸び悩んだ。立地的にJR山形駅周辺と七日町を行き来する際の“中間地点”に当たる。市ブランド戦略課は「行き先が『山形駅前』『七日町』と限られてしまわないように、回遊性を高める取り組みを推進したい」としている。