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2021年8月、八戸沖で座礁したパナマ船籍の貨物船「クリムゾン ポラリス」(総トン数3万9910トン)の撤去作業を担う日本サルヴェージ(東京)は31日朝、事故海域に残る船尾部分のうち、機関室を八戸港中央防波堤の陸側の海中に移設する作業を終えた。波やうねりの影響を受ける事故海域から、静穏度の高い防波堤の内側に移設したことで、機関室内に残る油が周辺海域に流出するリスクは軽減された。機関室は海底に仮置きし、1月中旬をめどに八戸港へ到着予定の大型台船に積載され、港外へ搬送される。
青森県沖での船舶の座礁としては近年例のない大規模な事故で、撤去作業は天候不順もあり工法見直しや延期が繰り返され、長期化している。約1700トンと重く最大の難所だった機関室の移設がようやく終わったことにより、24年3月末を目指す船体の撤去作業はゴールへの道筋が見えた。
作業実施が年末となったのは海洋の気象を勘案したため。当初は30日夕に完了見込みとされたが予定通り進まず、夜を徹して31日まで行われた。
台船2台による現場海域でのチェーンを使った機関室つり上げは、30日午前9時ごろに始め午後3時半ごろ終了した。「前回つり上げ時に船体に切れ込みが入ったこともあり慎重に対応、時間を要した」(船主側代理人の赤塚寛弁護士)という。同日午後4時半ごろからえい航を始めたが、その後に機関室が海底に接触し進めなくなり、同日夜から31日午前4時半ごろにかけ、再びつり上げを実施。同5時ごろえい航を再開し同7時20分ごろ、中央防波堤の陸側に到着した。
作業中に確認された油の流出は微量で、油防除船2隻が防除を行ったという。ポートアイランドからは31日、日の出とともに台船2台の間からえい航される機関室の一部と、台船上の作業員ら十数人が確認できた。午後3時半過ぎには機関室が海面上に見えなくなった。海底に仮置きされたとみられる。