毛糸で伝説の「五頭龍」 小矢部・野澤さん「辰」の新作 人形、編み技を駆使

人形の出来栄えを確認する野澤さん=小矢部市芹川

 10代のころから編み物を趣味としている小矢部市芹川の野澤澄江さん(74)は、今年の干支(えと)「辰(たつ)」を題材にした毛糸の人形を仕上げた。五つの頭を持つ「五頭龍(ごずりゅう)」などの伝説を表現した力作は既に市内での展示が決まるほどの評判で、野澤さんは創作意欲を新たにしている。

 「五頭龍と天女」と題した作品は、体長約1.2メートルの竜に、高さ約30センチの天女が乗っている。長編みや細編みなどの技法を駆使し、ラメの入った毛糸を編み込むなどしてキラキラとした雰囲気に仕上げた。綿を周囲に配し、雲の合間を進む様子を表現した。このほか、でんでん太鼓を手にした下帯姿の「子太郎」を乗せた竜の人形なども作った。

 伝説の竜は、現在の神奈川県鎌倉市の湖にすんでいたと伝わる。頭が五つあり、洪水や台風を起こして人々を苦しめた。天女に結婚を申し込むも断られたが、善行を約束することで夫婦となり、人々が平和な暮らしを取り戻したという。

 野澤さんは2017年、平安末期の武将・木曽義仲と女武者・巴御前らを題材にした人形を作り、市内外で展示した。「義仲・巴」の大河ドラマ誘致へ機運を高める作品として関心を集め、その後も作品展示の依頼が相次ぐようになった。

  ●2月から金融機関福祉施設で展示

 今回の作品も2、3、6月に市内の金融機関や福祉施設に展示されることが決まっている。野澤さんは「目玉の位置を変えるだけで、全く表情が違ってくる。一度編み始めると一気に仕上がった。自分なりに良い作品になったと思う」と話した。

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