朝乃山、正念場の1年 元横綱3人がエール

 1月14日初日の大相撲初場所で、西前頭7枚目の朝乃山(29)=富山市出身、高砂部屋=は、三役から元いた大関までの復活を目指す勝負の1年となる。第63代横綱の旭富士(伊勢ケ浜親方)、71代横綱の鶴竜(音羽山親方)、72代横綱の稀勢の里(二所ノ関親方)の3人が北日本新聞の取材などに対し、朝乃山が得意の「右四つ」の進化に期待を込めた。

 伊勢ケ浜親方は、横綱照ノ富士や2場所連続で優勝争いを演じた若手の熱海富士など多数の幕内力士を育て、厳しい指導と稽古量で知られる。黒部市内で12月に開かれた講演の後、取材に応じ、朝乃山について「(右四つという)自分の形がある」とした上で「自分の相撲に持っていくための相撲ができていない」と手厳しい。

 朝乃山と対戦経験がある音羽山親方は12月、都内で北日本新聞の単独インタビューに答えた。朝乃山の取組を振り返り「まわしを取れないまま、強引に持っていこうとする雑な攻めが目立つ。自分の形になっていない時、いかに自分の形で勝つかが大事」と語り、大関復帰は「今のままでは難しい。この1、2年が勝負」と奮起を促した。

 二所ノ関親方は10月、高岡市内で講演し、朝乃山の右四つを評価する一方、「もう一つ何か足りない」と注文を付けた。相手に簡単に左上手を許し、上手を切る技術がまだ不十分と指摘し「上手を切るのは技術的にすごく難しい。朝乃山がやろうとすればものすごい力が生まれ、攻められてもカウンターで2、3倍の力が出る」と求めた。

 朝乃山は九州場所で東前頭筆頭に番付を上げたが、初日から休場し、8日目から途中出場。4勝4敗7休で終え、9場所連続の勝ち越しを逃した。3月に30歳となり、初場所は20代最後となる土俵に上がり、三役復帰の足がかりとする。

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