《新年・茨城趣味特集》朗読ユニット 喜美談語(日立市)

スタジオ・CoCoを拠点に活動する朗読ユニット「喜美談語」=日立市内

■5人の声が物語を紡ぐ 紙芝居ボランティアも

しんと静まりかえった満席の会場で、臨場感あふれる声や情感豊かなせりふが交錯し、一つの物語を紡いでいく。

茨城県日立市を拠点にする朗読ユニット「喜美談語(きびだんご)」が、市内で昨年11月に開いた朗読劇。メンバー5人がそろいのTシャツで登壇し、O・ヘンリーの「賢者の贈り物」と金子みすゞの詩を披露すると、来場者はじっと耳を傾けた。

喜美談語は、代表の鈴木尚さん(66)を中心に、水戸芸術館ACM劇場(同県水戸市)の朗読教室に通うメンバーで昨年1月に結成した。地域の催しに積極的に参加し、共通の趣味である朗読や読み聞かせ、紙芝居などをボランティアで行う。

鈴木さんは朗読について「ただ読むのではなく、物語が描く世界や情景を具体的にイメージした上で語る。そこが難しく、面白い」と魅力を話す。登場人物の心情や距離感などについてメンバー間で一つ一つ議論し、「読み芝居」を作り上げていく。

活動の拠点は、JR常陸多賀駅に近いレンタルスペース「スタジオ・CoCo(ココ)」。鈴木さんが「県北地域の文化を発信し、交流を促す発信地にしたい」と昨年11月に開設し、個展や講演会など多目的に使える。

ビルの2階にあり、床面積は約135平方メートル。簡易の舞台や壁面鏡、プロジェクター用スクリーンなどを備え、椅子席は約50人収容できる。これまでに朗読劇やしの笛のワークショップを開いたほか、クリスマス会の会場としても提供。今春には講談・落語会も予定している。

多趣味で現在は芸大生でもある鈴木さん。「スタジオの活用法は使い手の想像次第。気軽に集える場にして、新たなつながりが広がっていくといい」と話す。

【メモ】スタジオ・CoCoの住所は日立市千石町1の2の23。JR常陸多賀駅から南に徒歩約1分。メンバーは随時募集。スタジオの利用希望などは喜美談語事務局まで。メールアドレスはkibidango3213@gmail.com

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