2024年の長崎県内景況 「最高水準」予想、県都のまちづくりが追い風 企業などトップに調査

新年の長崎県内経済の見通し

 十八親和銀行系シンクタンクの長崎経済研究所(長崎県長崎市)が県内主要企業・団体トップ111人にアンケートした2024年の県内経済見通しは、「回復」予想から「悪化」予想の割合を差し引いた判断指数(DI)がプラス77.5となり、前年から一気に24.3ポイント改善した。3年以上続いた新型コロナウイルス禍からの景気回復や長崎市内で進むまちづくりへの期待感を追い風に、過去15年で最高水準となった。
 回答割合は「回復する」(7.2%)と「やや回復する」(73%)が前年比で計16ポイント増加したのに対し、「やや悪化する」(2.7%)は8.3ポイント減少した。「悪化する」は前年と同じくゼロだった。「横ばい」(17.1%)も前年より7.7ポイント減った。
 JR長崎駅周辺の再開発に加え、今年10月に開業する長崎スタジアムシティへの期待が多く聞かれた。コロナ禍が収束に向かい、イベント再開やインバウンド(訪日客)回復による交流人口拡大も景況感を押し上げた。一方で、マイナス要因として物価上昇や人手不足が挙がった。
 国内経済の見通しも大幅に上昇。プラス65.8で前年より27.3ポイントアップした。「回復する」(8.1%)、「やや回復する」(60.4%)が計13.5ポイント増え、「悪化する」(0%)と「やや悪化する」(2.7%)は計13.8ポイント減った。県内DIが国内を上回るのは2年連続。全国的な景況改善を、県都でのまちづくり進展が底上げした。
 同研究所の泉猛主任研究員は「物価上昇や人手不足の懸念はあるが、全体としては明るい見通しとなった。経済環境がいいからこそ、企業が先延ばしにしてきた経営課題に果敢にチャレンジし、変革のチャンスとすることに期待したい」と述べた。
 アンケートは毎年12月に選択式と記述式で実施。業種別の内訳は製造24、運輸11、水産2、建設9、卸売14、小売10、電力・ガス・通信5、サービス22、その他14。

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