【能登半島地震】80代男性がれきに埋もれる 自衛隊決死の救助 記者ルポ

倒壊した家屋から救出した男性を運ぶ自衛隊員=2日午前11時40分、穴水町由比ケ丘

 穴水町由比ケ丘では、地震による土砂崩れで倒壊した民家に住民が取り残され、自衛隊が救助活動が行われた。(穴水支局長・中川弘孝)

 大量の土砂と家屋の残骸が、道路を挟んだ下方の民家2棟を押し流し、その勢いで電柱が大きく傾いていた。垂れ下がった電線をくぐりながら近づくと、押し流された家屋の1階は跡形もなく、車が押しつぶされていた。

 陸上自衛隊金沢駐屯地の隊員約40人が捜索を開始したのは2日午前7時半ごろ。土砂にまみれたがれきに向かって行方不明者がいないか確認する隊員。まもなくして「生存者あり」の大きな声が聞こえた。

 見つかったのは、家人の80代男性。意識ははっきりし、隊員としっかり会話していることにほっとした。

 男性の下半身は大量の土砂とがれきに埋もれており、素人目にも救出作業は困難だったようだ。「触ると痛い」と言う男性。作業を一気に進めれば、男性に負担を強いるだけでなく、二次被害の危険をはらむ。

 時折発生する余震の度、作業する隊員の手が止まる。まさに時間との闘い。片足が抜けても、もう片方がなかなか抜けない、もどかしい時が過ぎ、発見から約4時間。ついに男性が担架に乗せられた。「もう少しです」「頑張って」。そう声をかけながら男性を励ます隊員の姿を見て思わず目頭が熱くなった。

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