●富山、8人重軽傷
元日を襲った能登半島地震。富山市内のパチンコ店では天井の一部が崩れ、重傷者2人を含む8人が負傷した。市内の大型商業施設でも天井から部材が落下し、初売りを目当てにした家族連れらで混雑する店内に子どもらの泣き叫ぶ声が響いた。
富山市田中町1丁目のパチンコ店「KEIZ富山田中店」では1日午後4時過ぎ、2度目の大きな揺れで天井の一部が崩落し、遊戯中だった数人の客が一時下敷きになった。
「もしも自分に当たっていたと思うとぞっとする」。店内にいた立山町の男性(22)は声を震わせた。頭から血を流している人や、店員の呼び掛けに応じず倒れている人もいたという。
「買い物かごをかぶってください」。富山市のファボーレには、初売りで訪れた大勢の買い物客を大きな横揺れが襲った。驚いた子どもが泣き叫ぶ中、スタッフが冷静な避難行動を呼び掛けた。
太陽の広場の天井からは、石こうボードとアルミ製の枠が多数の福袋が置かれた場所に落下した。けが人はいなかったが、正月休みの時期でなければ、イベントが行われたり、来場者が休憩したりするスペースで、あわや大事故になりかねない場所だっただけに、関係者は肝を冷やした。
ファボーレを運営する富山フューチャー開発の前田展宏常務によると、地震が発生して間もなく、臨時休業を決め、スタッフがテナントの従業員と連携して避難誘導に当たった。
●杉原小など天井崩落 富山市
富山市八尾地域の杉原小体育館、スポーツ施設の八尾スポーツアリーナなどでは天井の一部が落下した。グランドプラザでガラスの一部などが損傷した。
市によると、2日正午時点で、公共施設の建物被害が153件、市道の液状化やひび割れ、漏水、のり面崩壊などの被害が計73件確認された。市道5カ所が通行止めとなっている。民間施設では建物被害が3件、設備故障が1件あった。
●県立学校32校で被害
富山県教委によると、県立学校全52校のうち富山、高岡、入善、伏木、滑川高など32校で内壁や外壁の剥離、窓ガラスの破損など被害がみられた。砺波青少年自然の家で天井、壁面の一部落下などがあった。
●県内漁港で液状化
県内の漁港では、岸壁の傾倒や沈下、液状化現象などが起こった。沿岸の各漁協によると、遊具の水没や散乱、アスファルトの破損といった被害が確認されているという。農業関係では、小矢部市で鶏舎の斜面崩落、黒部市で養豚舎周辺の地盤の液状化が確認された。県によると、県内事業所では社屋のひび割れや敷地・駐車場の液状化、壁や石垣、隣接道路の破損などが相次いだ。
●志賀原発、外部に放射能影響なし
北陸電力は2日、金沢市内で会見を開き、運転停止中の志賀原発1、2号機について「安全上問題となる被害は確認されていない」と説明した。放射線量を確認するモニタリングポストの数値に変化はなく、外部への放射能の影響もない。
●富山新港火力発電、出力を下げて運転 設備一部故障
北陸電力富山新港火力発電所の石炭1号機と同2号機(射水市)は設備の一部故障で出力をそれぞれ10万キロワットずつ下げて運転している。関西電力から電力の融通を受けているため、同社は「電力の安定供給に支障はない」としている。
富山県内では小矢部市で約170戸、南砺市で10戸未満、上市町の10戸未満がそれぞれ一時停電し、いずれも復旧した。
●ガス漏れ対応87件 日本海ガス
日本海ガス(富山市)によると、地震後に受け付けたガス漏れに関する対応件数は富山、石川県内で都市ガス82件、LPガス5件だった。高岡ガス(高岡市)では都市ガス導管の一部に漏えいが発生した。