富山一8強ならず 全国高校サッカー、佐賀東に1-5 先制も逆転許す「勇気届けたかった」

佐賀東―富山第一 後半、パスを出す富山第一・多賀(左)=駒沢

  ●応援席に「がんばろう北陸」

 第102回全国高校サッカー選手権第4日(2日・東京都の駒沢陸上競技場ほか)3回戦が行われ、富山代表の富山一は佐賀東と対戦、1―5で敗れ、3大会ぶりの8強入りを逃した。前半5分に先制したが、逆転を許した。地元が能登半島地震に見舞われ「がんばろう北陸」の思いで走り抜き、勝利はつかめなかったものの、気迫のプレーで富山に元気を届けた。

 試合が始まって間もなくの先制点は、富山に希望をもたらすゴールとなった。大量失点しても走り続け、終盤に際どいシュートを打った多賀滉人主将(3年)は「何としてでも勝って、富山で応援してくれた仲間や大変な思いをされた方々に勇気を届けたかった」と応援に感謝した。

 加納靖典監督は「最後まで諦めず、力を発揮しようというところが感じられた。子供たちの成長を感じられた」と目を赤らめた。

 部員や生徒らがバス2台で富山から応援に来る予定だったが、地震の影響で中止に。2回戦から東京に滞在していた保護者らが中心となって声援を送り、宮本凌成(同)の母、寿美さん(51)は「ピンチを力に変えてほしい。心を一つに頑張るしかない」とイレブンの背中を押した。

 佐賀東の応援席では「ひとつになろう日本」「被災地の皆さん 佐賀から応援しています」と手書きしたTシャツを着てピッチに声援を送る様子があった。富山一のスタンドには「がんばろう北陸富山」の横断幕が掲げられた。

 ▽3回戦

佐賀東  52-11 富山第一

      3-0

▽得点者【佐】右近2、西川葵、宮崎、最所【富】OG

  ●攻撃の形つくれず

 ○…富山一は前半5分に右ロングスローからの攻撃で相手のオウンゴールを誘って先制。ただ、その後は守勢に回った。同29分に攻守の切り替えが遅れたところを突かれて失点し、1分後には裏のスペースを狙われて勝ち越しを許した。

 後半に宮本と入江を投入したが、パスが乱れる場面もあって攻撃の形をつくれなかった。後半13、16分にクロスへの守備の対応が甘く失点。さらに4分後に駄目を押された。多賀のミドルシュートなど、最後まで点を取る姿勢を示して粘った。

© 株式会社北國新聞社