鍾翰林氏に「召還命令」と指名手配

元「学生動源」召集人の鍾翰林氏はSNS上で政治亡命を求めて英国に到着したと発表し、監督命令に違反した疑いがある。12月29日の香港メディアによると、懲教署は同日午後、事件を説明する記者会見を開き、梁建業・副署長(更生・管理担当)と唐恂・署長補佐(更生事務担当)が出席した。

梁副署長は、鍾氏が今年6月5日に釈放され、2024年6月4日までの1年間監督しなければならないと指摘。鍾氏は12月14日に監督官と面会した際、12月20~25日に沖縄に旅行する予定だと伝えた。 12月25日に飛行機に乗れなかったため、香港に戻るのを28日まで延期しなければならないと報告しており、監督官は28日夜に連絡を取ろうとしたが連絡が取れなかった。 29日にSNSや報道から、彼が政治亡命を申請するために英国に逃亡したことを知ったという。梁副署長は鍾氏の行為を強く非難し、同署はただちに「召還命令」を出し、他の法執行機関に法律に従って指名手配するよう通告し、鍾氏にはできるだけ早く香港に引き返すよう呼び掛けた。

鍾氏の香港出境を承認した基準について尋ねられた梁副署長は、監督規定によれば監督対象者の出入境は制限されていないが、時間、場所などを監督官に通知する必要があると指摘。この事件で鍾氏が信頼を損なったと強く非難した。梁副署長は、監督命令は更生した人々が社会に復帰し、再び罪を犯さないことを望んでいると強調し、鍾氏が受けた監督命令は刑事訴訟法第211条に基づいていると指摘した。施設入所時満14歳、退所時25歳未満の更生者には1年間の監督命令が課せられ、犯罪の種類によって変わることはないという。国家安全処が接触して彼に中国本土への旅行を勧めたという鍾氏の主張について、梁副署長は他の部門の行動についてはコメントできず、他の部門からのアドバイスに関する関連情報も持っていないと述べた。

22歳の鍾氏は2021年末、香港版国家安全法に基づく国家分裂とマネーロンダリングの罪を認め、固3年7か月の判決を受けて今年6月に釈放された。鍾氏はSNS上で判決を受けた時は21歳未満だったため、釈放後1年間は懲教署の監督命令に従わなければならないと説明。現在の規制によれば「監督付き釈放制度」「釈放前雇用制度」「条件付き釈放制度」「釈放後監督制度」に基づいて釈放された更生者は、法定監督と指導を受けることが義務付けられている。監督官は家庭訪問や職場訪問を実施し、更生者が親戚や友人との関係を再構築するのを支援する。2022年末時点で計1193人が法定監督下に置かれている。

警察広報部は、香港版国家安全法第17条に従い、国家安全保障に関連する諜報情報の収集と分析は国家安全処の責務の一つであると述べた。国家安全処はさまざまなルート、方法、人を通じて国家安全保障を危険にさらす行為に関する情報を収集しており、効果をあげているという。 報道官は、国家の安全を脅かす犯罪を犯し、監督命令や保釈条件に露骨に違反して香港から逃亡した人物の信用は完全に破綻したと指摘。報道官はまた、これらの人々は「過去に香港と市民に与えた被害を反省していない」だけでなく「いわゆる被害者として外国の反中勢力に援助を懇願している」と述べ、彼らの行為を「卑劣で恥ずべきこと」と表現し強く非難した。

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