【能登半島地震】「薬足りない」 避難の大多数が高齢者 輪島市門前、おむつも欠乏 記者ルポ

地震で崩れた門前の家=輪島市門前町浦上

 輪島市門前町浦上のあすなろ交流館では3日、自主避難者150人が、館内や建物そばのビニールハウス、車内で一夜を明かした。100歳をはじめ、その多くは高齢者で、持病を抱えた人もいる。地元住民が持ち寄った握り飯や汁物で何とか食いつないでいるものの、物資は着実に減っており、限界が近づいている。(北國新聞社事業局・宮腰哲也)

 避難者の中には、心臓病や糖尿病、歩行困難など慢性疾患を抱えたお年寄りがいるが、手持ちの処方箋は底を突きかけている。電波は圏外で、カーラジオと人づてに入ってくる情報のみ。あまりに心細い状況だ。

 3日午前8時ごろ、千葉県袖ケ浦市の団体「4番隊」の伊藤純代表理事が支援物資を積んで到着。水や使い捨てのカイロ、簡易トイレなどを届けた。土砂崩れで輪島市中心部に行けないとして物資を全て降ろしていった。

 この地域にはそもそも店自体が少ない。必要な物資を買い出しで確保することは難しく、飲食料は常に不足気味。常備薬、処方薬、大人と子供の紙おむつ、簡易トイレも足りていない。

 行政機能はまひしたまま、避難者数の把握すらできていない。きっと、同じような状況の地区がいくつもあるのだろう。

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