「育成、再生しながら勝つ」1期生29人を一挙紹介!プロ野球2軍に参戦「ハヤテ」新球団

「2024年、静岡にプロ野球チームができる」
去年の正月にこんな話をしていたら、きっと、鬼が笑っていただろう。それが1年経った2024年1月、現実のことになった。これは、夢物語ではない。

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今シーズンからプロ野球2軍のチーム数が2つ増える。NPBの球団数が増えるのは、1958年にセリーグ6、パリーグ6の12球団体制となって以来初めてのことだ。新たに参加するうちの1つが、静岡市を拠点とする「ハヤテ球団」。よくニュースで目にする「ハヤテ223」は球団名ではなく、あくまで運営会社の名前。まもなくチーム名も発表される。

地元が誇る“レジェンド”の山下大輔GM(清水東高出身、元横浜監督)と近鉄時代、最優秀救援投手に5度も輝いた赤堀元之新監督(静岡高出身)の発表を皮切りに、チームの骨格となる選手、スタッフ集めが急ピッチで行われ、ようやく全貌が見えてきた。

“1期生”となる選手は現時点で29人。戦力外通告を受けて再起を図るNPB経験者、独立リーグで揉まれてきた者、さらには、大学や高校からプロ野球選手という夢をかなえようとする者、みな、異なる道を歩んできた先に、この新球団があった。もちろん、目標はそれぞれ違うが、静岡のファンは、勝って歓喜に沸く姿も見たい。その大切な戦力をこの際、ぜひご紹介したい。

【投手=14人】“伸びしろ”たっぷりのメンバー

11 大生虎史 18 柳ヶ浦高
13 奥田健誠 23 BSL神奈川
14 村上航 23 BC茨城
15 竹内奎人 24 群馬大(静岡高出)
16 奥田域太 22 星城大
17 二宮衣沙貴 25 BC茨城
18 西濱勇星 21 オリックス
20 藤本颯太 23 KD淡路島
21 藤岡好明 39 KAL火の国
28 野村裕樹 24 BC神奈川(清水桜が丘高出)
41 早川太貴 24 ウイン北広島
46 田中健二朗 34 横浜DeNA(常葉菊川高出)
47 東海林碧波 22 早稲田実業高~早稲田大学
53 池谷蒼大 24 横浜DeNA(静岡高出)

投手はNPB経験者4人を含む計14人。ソフトバンクや日本ハムなどで活躍したベテラン藤岡好明(39)をのぞくと平均年齢は23.6歳とまだまだ伸びしろのあるメンバーがそろったといえる。

静岡の野球ファンとしては、春のセンバツで常葉菊川高(現常葉大菊川高)を日本一へと導いた左腕・田中健二朗(34)の復活劇に期待したい。横浜(現DeNA)に高校生ドラフト1位で入団すると、長年、主にセットアッパーとして大車輪の活躍を見せたが、左肘のけがで育成選手も経験、一度はカムバックしたものの、2023シーズン終了後、16年在籍したDeNAから戦力外通告を受け、第2の故郷・静岡で再スタートを切る。若い投手陣の手本となるだけでなく、ここで結果を残すことで、再びNPBの舞台へ戻ることを虎視眈々と狙う。

静岡高のダブルエースにも注目だ。左の池谷蒼大(前DeNA)と右の竹内奎人(群馬大)は2017年春のセンバツに出場、藤原恭太(現ロッテ)や根尾昂(現中日)を擁し、優勝した大阪桐蔭相手に真っ向勝負を挑み野球ファンの心を掴んだ。この2人が6年の時を経て、再び同じユニホームを着る。

【捕手=4人】し烈なレギュラー争いに期待

0 深谷力 23 KD和歌山(飛龍高出)
6 谷川唯人 21 千葉ロッテ
22 草場悠 20 BSL千葉
51 居谷匠真 21 福岡ソフトバンク

捕手は4人。このうち、谷川唯人(元ロッテ)と居谷匠真(元ソフトバンク)はともにNPBの育成選手を経験。一方、深谷力(飛龍高出身)と草場悠は独立リーグからのチャレンジとなる。わずか1つの正捕手の座を目指してし烈な競争が予想される。

【内野手=6人】再起を目指すNPB経験者がズラリ

4 西川僚祐 21 千葉ロッテ
5 倉本寿彦 33 日本新薬
7 橘八重龍誠 20 すながわリバース
24 高橋駿 26 KAL北九州(静岡西高出)
25 折下光輝 24 KD堺
66 宜保優 24 BC栃木

実績充分なのが、日本新薬から入団の倉本寿彦(33、元DeNA)。横浜高校時代には夏の甲子園ベスト4、DeNA入団後、2017シーズンにはレギュラーシーズン143試合フルイニング出場を果たすなど一時は不動のショートとして活躍した。

ロッテから入団した西川僚祐(21)も期待の大砲だ。高校通算55本塁打、ロッテ時代は一軍公式戦の出場はなく、入団からわずか3年で戦力外となったが、再起をかけたNPB合同トライアウトでは、のちにチームメートとなる田中健二朗から豪快なホームランを放つなど、その片鱗を見せた。松井秀喜や高橋由伸、鈴木誠也ら育てた内田順三打撃アドバイザーのもとでどう成長するか、注目が集まる。

【外野手=5人】ドラフト候補の“逸材”に大注目

1 増田将馬 25 IL徳島
3 平湯皓基 25 KAL宮崎(静清高出)
8 篠原玲央 22 共栄大
9 富山太樹 23 BC栃木
37 福田秀平 35 千葉ロッテ

サプライズといえるのが、福田秀平(35)の加入だ。実績は文句なし、長打力と走力を兼ね備え、外野のほか、一塁、二塁も守れるユーティリティプレイヤーとしてソフトバンクで活躍した。FAでロッテに移籍したが、その後はけがに泣き、2023シーズン限りで戦力外に。静岡の地で再起を目指す。

特に注目したいのが、増田将馬(25)。四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスに所属し、2023年のドラフト候補にも名前が挙がった逸材だ。独立リーグ時代の2シーズンで通算59盗塁、昨季は盗塁王にも輝いた。打撃センスもよく、守っても強肩。増田の走攻守から目が離せない。

【監督・コーチスタッフ】若手育成に長けた顔ぶれそろう

監督 赤堀元之(静岡高出)
ヘッドコーチ 高田 誠
打撃・野手コーチ 深谷亮司
打撃アドバイザー 内田順三(東海大一高出)
投手コーチ 中村 勝

首脳陣も多彩な顔ぶれとなった。赤堀新監督は独立リーグで、高田ヘッドコーチも巨人2軍監督の経験を持ち、さらに深谷打撃・野手コーチも長年、独立リーグや大学生などを指導するなど、いずれも選手育成に長けている。日本ハムなどで活躍した中村投手コーチは32歳とチーム最年少コーチ。さらに、打撃アドバイザーを務める内田順三氏は巨人、広島で名だたる名選手を育て上げた実績を持つプロ野球界指折りの名伯楽だ。

チームでは、外国籍選手との交渉も進めていて、最終的には40人前後になる見込み。「育成、再生しながら勝つ」を掲げるハヤテ新球団は1月11日から、合同自主トレーニングを開始し、25日からは清水庵原球場でのキャンプがスタートさせる。

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