【能登半島地震】「水の壁のように見えた」 宇出津港に津波 本紙記者ルポ

津波で沖に流される乗用車(読者提供)=1日午後5時10分、能登町宇出津新

 地震発生により、大津波警報が発令された1日夕、能登町宇出津港周辺も津波に襲われ、一時浸水する被害に見舞われた。「水の壁のように見えた」。住民は恐怖の元日を振り返った。(能登支局長・新谷彰久)

 地震発生は1日午後4時10分ごろ。宇出津の会社員男性(57)によると同5時ごろから津波が押し寄せ始めたという。一時は宇出津港から約200メートル西側の新町交差点手前まで達した。

 「津波が引く時には川に落ちた乗用車をのみ込み、一気に沖へ運んでいった」と男性。津波の第2波が押し寄せるのが見え、一目散で逃げたという。

 宇出津港沿いのガソリンスタンドは、津波が事務所内まで達した。社長の上野峰喜さん(67)は当時、近くの高台に避難中で「高潮で海水が押し寄せることはあったが、津波に襲われたのは初めて。怖くてたまらない」と表情をこわばらせた。

 3日、宇出津は流れ着いたごみや泥などの痕跡が見られ、住民が後片付けを進めた。

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