●被害、全容見えず 750人孤立、救助待つ
石川県全域を襲い、最大震度7を観測した能登半島地震は3日、県の集計で午後7時現在、死者は73人、負傷者は323人、避難者は約3万3千人となった。珠洲市、輪島市で震度5強が相次ぐなど大きな揺れが続いた。生存率が大幅に下がる発生72時間が4日午後に迫る中、珠洲市宝立町をはじめ、各地で生き埋めが発生し、沿岸部では津波被害もあったとみられるが、救助活動は進んでおらず、人的被害がさらに増える可能性が大きい。
●直接死は東日本、阪神に次ぐ
阪神大震災以降、地震での建物倒壊などによる直接死は、2016年の熊本地震(計50人)を超え、東日本、阪神に次ぐ3番目に多くなった。
県によると、死亡したのは輪島市で39人、珠洲市で23人、七尾市で5人、穴水町、能登町で各2人、羽咋市、志賀町で各1人。重傷者は輪島市、能登町で各9人、穴水町で5人、志賀町で2人。珠洲市は軽傷者と合わせて負傷者が145人となった。
●倒壊家屋から2日ぶり救出 珠洲で80代男性
石川県警によると、珠洲市の倒壊家屋から3日、80代の男性が地震発生から2日ぶりに救出された。命に別条はないという。
輪島、珠洲、七尾、穴水、能登の5市町で孤立集落の発生が確認された。珠洲市で少なくとも6地域で約690人が救助を待っている。七尾市、穴水町、能登町で計約60人が孤立した。
午後3時時点で15市町の355カ所に避難所が開設され、計3万3441人が身を寄せた。輪島市の9863人、珠洲市6981人、能登町5200人、穴水町3828人など。
3日午後3時時点で奥能登2市2町を中心に約3万3千戸で停電が発生している。輪島市約9400戸、珠洲市約8000戸、穴水町約5400戸、能登町約6200戸などとなった。
住宅の損壊は輪島市、珠洲市、能登町で多数発生しているが、把握できていない。全壊は七尾市で102戸、中能登町で16戸、羽咋市で15戸、志賀町で8戸。
断水は13市町の9万5千戸で発生している。七尾市2万1500戸、輪島市1万戸、かほく市9800戸などで、穴水町の断水戸数は不明となる。
●輪島など大雨警報
金沢地方気象台は3日、輪島市、志賀町、穴水町に大雨警報を発表した。4日昼過ぎにかけてやや強い雨が降るとして、土砂災害への警戒を呼びかけた。4日に予想される1時間雨量は多い所でいずれも15ミリ。4日午後6時までの24時間予想雨量は多い所で50ミリ。
3日も断続的に地震が発生。午前2時21分ごろ、珠洲市で震度5強を観測した。午前10時54分ごろには輪島市で震度5強の地震があり、七尾、中能登、穴水、能登の4市町では震度4を観測した。いずれも震源地は能登地方で、震源の深さは約10キロと推定される。
●震度1以上521回
気象庁は3日、能登半島地震で震度1以上を3日午後4時までの48時間で521回観測したと発表した。地震活動が活発化した2020年12月から23年12月末までは506回。丸2日で約3年間の記録を超えた。