【記者ルポ】珠洲から穴水10時間 道路陥没、隆起で大渋滞 路肩に車乗り捨て

崩落した道を慎重に進む車列=2日午前8時40分、穴水町

 最大震度7に見舞われた能登では、あちこちの道路が陥没、隆起しており、パンクやバッテリーの故障で路肩に乗り捨てられている車が目立っている。このため、珠洲―穴水間は大渋滞が発生。記者は3日、移動に10時間を要した。災害復旧や家族の安否確認を急ぐ人で奥能登入りする車は増え続けており、石川県は不要不急の利用を避けるよう呼び掛けている。(元珠洲支局長・宮本章史)

 珠洲道路は通行可能だが、片側の車線が土砂で覆われていたり、大きく亀裂が入っていたりと悪路が続く。車道脇に土砂が差し迫る道もある。300㍍ほどのトンネルを抜けるのには40分近くかかった。

 輪島市三井町洲衛から穴水へつながる県道303号は通行止め。迂回路として県道271号、さらに1号へと促されたのだが、3日午後6時から6時間の間に進んだ距離はわずか3㌔。その後も超ノロノロ運転が続いた。電波はずっと圏外。余震が続き、もし今、大きな地震が起きたら生き埋めになるかもしれないと恐怖が頭をよぎる。

 3日午後3時に珠洲を出発し、穴水に着いたのは翌4日午前1時だった。

 日が落ちてからは、道路の亀裂や段差が確認しづらい。道中はパンクで進めなくなった車を何台も見掛けた。土砂が直撃した軽自動車や陥没した道路に挟まった乗用車も撤去されず、そのままになっている。

 被災者を助けたいと多くの人が能登に入っている。混雑が長引くことが懸念される。

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