SNSの「なりすまし詐欺」に狙われやすい人の特徴とは?防犯アドバイザーに聞いた

最近、よく目や耳にするようになった「SNS乗っ取り」という言葉。例えばLINEアカウントを悪意を持った人物が乗っ取り、自分になりすまして家族に対して金銭を要求する詐欺が多発しています。

またSNSに投稿された情報をもとに、そのユーザーにそっくりの音声や映像を作ってユーザーを装い、家族や友人をだます詐欺も出てきており、電話によるオレオレ詐欺や振り込め詐欺と同様に、SNSでも気をつける必要があります。

先日、パナソニックが開催した「すまいの防犯ラウンドトークセッション」では、犯罪が増加する年末年始を前に、近年の犯罪傾向と防犯対策の解説のほか、専門家によるトークセッションやテレビドアホン・防犯カメラ・迷惑電話防止機能のついた電話機など連携防犯に役立つパナソニック製品の紹介が行われました。

トークセッションには、防犯アドバイザーの佐々木成三さんと京師美佳さんがゲストとして招かれ、京師さんはSNSを利用したなりすまし詐欺についても注意喚起をしていました。

そこで今回は、京師さんになりすまし詐欺の対策を詳しく対策を教えていただきました。ねらわれやすいNG行動を見ていきましょう。

SNSを利用したなりすまし詐欺にねらわれやすいNG行動

1.行きつけのお店や最寄り駅などをSNS投稿している

京師美佳さん(以下、京師)「SNSに自分の家の位置が特定できるような投稿をしていませんか? より一層、犯罪者はあなたになりすますのが容易になってしまいます。

もしあなたになりすました犯罪者があなたの家族をだまそうとアプローチした際に、SNSの情報をもとにあなたと家族だけしか知らないような情報を伝えれば、家族はあなた本人だと信じ込んでしまいます」

2.自撮りの写真をSNS投稿している

京師「自分の顔や全身などの写真を投稿していると、AI(人工知能)技術で加工されて悪用されてしまう恐れがあります」

3. 3秒以上の自撮り動画を投稿している

京師「動画投稿にも注意が必要です。ディープフェイクといわれる技術を用いて、テレビ電話などで自分そっくりになりすまし、家族に孫や子どもを装って振り込め詐欺を仕掛けるケースが増えています。

3秒以上の動画があれば、AIで85%程度あなたに似せて加工することが可能なのです」

4.二段階認証にしていない

京師「SNSにIDとパスワードだけでログインできるようにしていると、乗っ取られる可能性が高くなります。アカウントを乗っ取ってあなたになりすまし、家族や友人をだます手口も多いのです。

予防するには、二段階認証をするのがおすすめ。もう一つデバイスなどを使った承認が必要になるため、アカウントを乗っ取られるリスクが減ります」

5.自分の名前やプロフィール写真で検索して日頃からチェックしていない

京師「Googleなどの検索エンジンで、自分の名前や写真で検索をしたことはありますか? 検索すると、時々、自分になりすましたSNSが出てくることがあるのです。

SNSでつながっている人に、自分になりすまして『新しいアカウントだよ』とコンタクトをとり、LINEなどに誘導して詐欺商品を買わせるなどの手口があります。自分のなりすましがいないか検索して定期的に確認しましょう」

犯罪者にねらわれないために! SNSを利用するときの注意点

SNSは、意外にも恐ろしいリスクが潜んでいるものなのですね。日頃からどのような点に注意すれば良いのでしょうか。

京師「SNSは、自分や家族が危険な目に遭うかもしれないと理解した上で使用しましょう。前述の通り、SNSのログインは二段階認証にし、できるだけ自撮り写真・動画は投稿しないこと。なりすまし画像や動画を作成されてしまいます。またスマートフォンの位置を特定できるGPS機能もオフにしましょう。

買い物や食事、旅行写真で裕福かを見定め、そこに書かれた個人情報で家族相手になりすまして金銭をだましとる詐欺が多いのです。

また定期的に自分や家族のプロフィール写真を画像検索してなりすましが存在しないか確認しておくと安心です。

今後はディープフェイクを利用したなりすまし振り込め詐欺も増加していくと考えられるため、家族で合言葉を決めて、電話やネットでの対話のときにはまずはじめに合言葉を言い合うようにするといった予防策をとるのをおすすめします」

思わぬところに落とし穴はひそんでいるようです。SNSでも詐欺は横行していると認識して、ぜひ日頃から防犯対策をしっかりと取っておきましょう。

【取材協力】防犯アドバイザー 京師 美佳(きょうし みか)さん

トータル防犯アドバイザーを目指し、セキュリティ企業へ就職。法人営業部の責任者を務める中、2002年10月に防犯設備士取得。その後は、防犯ガラスメーカーに勤め、セキュリティ事業部長、そして防犯アドバイザーとして、防犯診断や電話での相談受付、セミナーなど、幅広く活動を行う。2005年5月独立。京師美佳セキュア・アーキテクトを設立し、2009年11月には一般社団法人全国住宅等防犯設備技術適正評価監視機構理事に就任し、現在も講演、テレビ、新聞、雑誌など多方面で防犯の啓蒙活動を展開中。

(ハピママ*/ 今村 梓)

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