青森市、中心街再生へ新ビジョン策定検討 再開発を促進、バス路線再編

青森市が新ビジョンの策定を検討する中心街。公共交通網の再編も課題になる

 青森市が中心市街地の活性化を図るため、来年度にも新たなビジョンの策定を検討していることが3日、分かった。青森駅東口ビルや民間の再開発事業が進む中心街では現在、水面下でさらに複数の再開発の動きがあり、具体化すれば支援を検討する。さらに、バス路線の再編と青い森鉄道の活用を組み合わせ、中心街を地域再生の要とした新たなまちの姿を描く。

 東奥日報の取材に対し、西秀記市長が長期的なまちづくりの考えを明らかにした。

 新ビジョンでは、中心市街地の再開発促進や交通ネットワークの利便性向上により、回遊性のあるまちづくりの方向性を示す見通し。

 市中心街では、旧青森国際ホテルの跡地一帯で民間による再開発事業が検討されており、ほかにも複数の再開発構想が動いている。市はこれらの民間活力も含めて、まちの魅力向上を図る。各種再開発事業などの実現に関し、国の支援策の活用も見据える。

 西市長は「これほど切れ間なく再開発が進んでいる街はそうない。市民がイメージできるような具体的なビションを示すことで、さらなる民間投資にもつながる」とし「新しい建物を造ることが目立つが、施設をつないで回遊性をどう生み出すかが重要であり、それが街のにぎわいになる」と話す。

 一方、人口減少社会では都市機能を分散させることが難しいことから、西市長は、中心街と住宅街、さらには住宅街と他の住宅街を電車やバスといった公共交通でつなぐことが、まち全体の活性化を目指す上で最も合理的との考え。重視しているのが、青森操車場跡地への青い森鉄道の新駅設置で「市内の各駅を起点としてバス路線の抜本的な見直しが可能になる。南北にバスを走らせるよう路線を再編できる」と西市長は強調する。

 市中心街は、歩行者通行量が2023年6月の調査で平日9万5776人、休日7万2126人となり前年より回復したが、新型コロナウイルス禍前の19年度と比べるといずれも約2割減少しており、再生への道は半ばだ。

 こうした中、旧中三青森店跡地に複合商業施設「THREE(スリー)」が23年4月に開業し、角弘本社ビル一帯の再開発も進行、ホテルや商業フロアなどを備えた青森駅東口ビルは24年春に開業予定と、新たな動きが続いている。

 市の中心街対策を巡っては、07年に第1期中心市街地活性化基本計画が富山市と並んで国から全国第1号で認定を受けた。続けて策定した第2期の同計画が18年に終了。その後は同年に立地適正化計画を策定し、市内6地区を拠点とし、公共交通で結ぶ多極型のまちづくりを進めている。

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