輪島で生き埋め50件 県内死者78人、不明50人 迫る72時間、被害把握なお難航

住宅のがれきを撤去する京都府警の警察官=4日午前8時、輪島市河井町

  ●津波で1人不明珠洲

 石川県全域を襲い、最大震度7を観測した令和6年能登半島地震で、輪島市は4日、住民の生き埋めが40~50件あると明らかにした。県などの集計によると、輪島市では44人の死亡が確認され、県内の死者は78人、安否不明者は50人となった。生存率が大幅に下がる発生72時間が午後4時に迫る中、陸路や通信の寸断などで救助が難航している輪島市や珠洲市などを中心に、なお多くの人が倒壊した建物内に取り残されているとみられる。

 県によると、輪島以外の死者は珠洲市が23人、七尾市が5人、穴水町、能登町が各2人、羽咋市、志賀町が各1人。珠洲市の漁港周辺で津波による行方不明者が1人いることも判明した。

 阪神大震災以降、地震での建物倒壊などによる直接死は2016年の熊本地震(計50人)を超え、東日本、阪神に次ぐ3番目に多い。

 珠洲、輪島、七尾、穴水、能登の3市2町で少なくとも750人以上が道路の寸断などにより孤立している。

 避難所は8市7町の364カ所、避難者数は3万4173人となった。輪島市は138カ所、1万1681人、珠洲市は6981人、能登町は5505人、穴水町は3815人、七尾市は3286人が避難している。

 断水と停電も続く。4日午前8時時点で、県内14市町で少なくとも8万2千戸以上で断水が続いている。市町別では七尾市の約2万1500戸が最も多く、輪島市で約1万戸、志賀町で約8800戸など。3日までに給水車による活動が始まっている。

 停電は約2万9500戸。内訳は輪島市が約9500戸、珠洲市が約7800戸、能登町が約6300戸、穴水町が約5600戸となっている。

 政府によると、建物倒壊は200軒以上で確認されている。

 のと里山海道の柳田―上棚矢駄インターチェンジ(IC)間は4日午前6時、地震発生直後からの通行止めが解除され、内灘―上棚矢駄IC間が通行可能となった。上棚矢駄からは県道志賀田鶴浜線で国道249号に接続でき、被災した奥能登との行き来に要する時間が短縮された。

 馳浩知事は4日の災害対策本部員会議で、生存率が急激に低下する「発災から72時間」が迫っているとし「孤立状態の外浦地区などで、全力で救助に当たってほしい」と求めた。

 安否不明者リストの公開が目安とする48時間より遅れたことについて、馳知事は「市町の職員も被災したほか、通信環境が悪化しており、遅れた。申し訳ない」と陳謝した。会議後、報道陣の取材に答えた。

  ●6日から雨 7、8日は雪

 4日の石川県内は全域で晴れ間が広がった。金沢地方気象台によると、5日は気圧の谷の影響で能登は曇り、加賀は夜に一部で雨となる。放射冷却により冷え込み、朝の最低気温は輪島2度、金沢3度の予想。

 6日は低気圧の影響で雨となり、地盤が緩んでいる能登では再び大雨警報(土砂災害)が発令される可能性がある。

 7、8日は冬型が強まって平地でも雪が降る見込みで、最低気温は1度前後まで下がるとみられる。

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