能登半島地震で壊滅的な被害を受けた珠洲市内では、生存率が大幅に下がるとされる「発生72時間」が4日午後に迫る中、警察や消防による懸命な救助活動が続く。発生から丸2日近くが経過した3日午後には、複数の倒壊した家屋から住民が助け出され、生存が確認された。一方、生き埋めになっている被災者は多数いるとみられる中、繰り返し起こる余震によって活動は難航している。
珠洲市正院町では3日午後0時20分ごろ、倒壊した住宅に取り残されていた80代男性を、神奈川県警の応援部隊の隊員らが44時間ぶりに助け出した。警察庁は救助の様子を撮影した動画を公開した。
動画では、隊員らは1階が押しつぶされた住宅の屋根付近から屋内に入った。数分後に男性の姿が見えると、隊員らが「頑張れ。頑張れ」などと声をかけながら男性を引き上げた。
はだしでぐったりした様子の男性に毛布をかぶせて担架で外に運び出すと、隊員らから「良かった。助かった」「よく頑張った」と安堵(あんど)の声が上がった。男性は1日の地震発生直後から取り残されていたとみられる。警察庁によると、医療機関に搬送され、命に別条はないという。
総務省消防庁は3日、珠洲市宝立町の倒壊家屋から住民を救助する様子の動画を報道陣に公開した。住民は生存が確認され、病院に搬送された。
同日午後5時半ごろに撮影した動画で、緊急消防援助隊として駆けつけた京都市消防局の救助隊員らが、毛布のようなものにくるまれた住民を慎重に運ぶ様子が映っている。周囲は暗くなり始め、隊員らはヘッドライトを着用して救助に当たった。
警察庁によると、警察の広域緊急援助隊は被害の激しい輪島、七尾、珠洲3市を中心に展開。3日午後6時半時点で、16都府県警の約700人が石川県入りし、計21人を救助した。