救助12時間、実らず 倒壊ビル女性死亡 立ち尽くす家族「なぜ」

ビルの下敷きになった家屋から住人が救助された現場=3日午後10時7分、輪島市河井町

  ●輪島・河井町

 7階建てビルが倒壊した輪島市河井町の現場では、3日午後10時10分ごろ、がれきの中に取り残されていた女性が救助されたものの、既に心肺停止状態で、その場で死亡が確認された。地震発生から54時間、救助開始から12時間、懸命の活動は実らず、現場で見守った家族とみられる住民らは冷たい雨の中で立ち尽くした。

 地震発生後、ビルは付近の店舗兼住宅を押しつぶす形で横倒しになった。3日午前10時、大阪から応援に入った消防隊員チームが現場での救助活動を開始。雨と強い余震が続く中で作業は難航し、救助まで約12時間を要した。

 現場の消防隊員によると、女性はがれきに体を挟まれており、隊員数人がチェーンソーなどでがれきを撤去して女性の体を運び出した。その後、親族とみられる関係者が、シートで目隠しされたエリアで女性の姿を確認し、うなだれた様子で車に乗り込んだ。

 付近住民によると、死亡が確認された女性は家族とともに飲食店を切り盛りしていた。女性を知る住民の一人は「気さくに笑顔で接してくれた。なぜこんなことに」と両手で顔を覆った。

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