「時の流れで寂しいが財政も健全化していくなら」1月1日で消えた“浜北”…浜松市「7区」→「3区」で何が変わったのか

新年を迎え、浜松市は行政区が7区から3区に再編されました。行政区再編によってどのように変わったのか、そして今後の課題を探りました。

【写真を見る】「時の流れで寂しいが財政も健全化していくなら」1月1日で消えた“浜北”…浜松市「7区」→「3区」で何が変わったのか

<浜松市 中野祐介市長>
「新3区体制の新たな年にあたってですね、これまで以上の浜松の飛躍、成長、それをぜひともとげて行きたい」

2024年1月1日から行政区が7区から3区に再編され新たなスタートを切った浜松市。4日午前、浜松市役所では、仕事始め式が行われ中野祐介市長が市職員に訓示を行いました。

<浜松市 中野祐介市長>
「最大の課題は人口減少だと、この人口減少の流れを食い止め転換する。そして、少子化高齢化、この流れから脱却する」

行政区の再編は少子高齢化が進む中、区役所などを削減し行政運営の効率化を図ることで持続可能な市政運営を未来につなげることが最大の目的です。さらには、行政をスリム化することで年間およそ6億5千万円の人件費削減も見込まれています。

浜松市では、行政区再編について、鈴木康友前市長と議会などが10年以上にわたって、慎重に審議が行われてきました。

行政区を7区から3区に変更する条例案が2022年2月に浜松市議会で可決されるまで、議会側は市民の同意を得ることが難しかったと話します。市民説明会は約50回にのぼるといいます。

<行財政改革・大都市制度調査特別委員会 高林修委員長>
「やはり時間も限られているのでなかなか理解していただけなかった。説明会にいくたびにそれを痛感して帰ってきた」

では、行政区再編で一体、何が変わるのでしょうか。

<清水英之記者>
「浜北区役所の『北』の部分の撤去作業が終わりました。今後、浜北という地名は住所から消えてしまいます」

12月29日、浜北区役所で文字盤の付け替え作業が行われました。この再編で変わるのはまず、行政区の名称です。中区など4つの区と北区の三方原地区が「中央区」に。そして、浜北区と三方原地区以外の北区が「浜名区」に変わります。天竜区はこれまで通りです。また、郵便番号をはじめ、町字名や番地は変わりません。

<地元の人>
「ずっとこれで慣れ親しんできたんで、なくなること自体、まあ時の流れかなというのもあるけど。まあ、寂しいですよね。まあ3つに変えるのはわかるんでまあそれで財政も健全化して行くんだったらいいかなと思いますけど」

そして、もう一つ、区役所などのサービス提供拠点の名称が変わります。

<区再編推進事業本部 嶋津裕亮副本部長>
「区役所は3つになるんですけれども残りの4つは行政センターに名称が変わります」

行政区の名称変更で運転免許証の住所の書き換えは必要なのでしょか。

<静岡県警西部運転免許センター 藤田栄一さん>
「今回の浜松市の行政区の再編によって住所の行政区が変わったからと言ってすぐに免許証の住所変更する必要はありません。」

マイナンバーカードも、次回の書き換えの時に自動的に更新されます。

一方で、行政区再編に伴い浜松市が最重要課題に掲げているのが市議会議員の定数の見直しです。現在の市議会議員の定数は46人。2023年12月行われた市議会の議会改革検討会議では。有識者を交えた調査会を設置することが決定しました。一部の議員などから自ら身を削り定数削減を求める意見がある一方で懸念する声も上がっています。

<浜松市議会改革検討会議 加茂俊武委員長>
「現状でも十分ではないかというような意見。これ以上議員を減らすと地域の声、住民意思の適格な把握というのが我々議員の務めですからそういった住民自治の部分を危惧する声もあると、言うのも事実です」

2026年3月に新たな議員定数を議会で決定し、2027年4月に行われる次の市議選から新たな議員定数が適用されます。

少子高齢化や人口減少を見据えた行政サービスの効率化を図るための行政区再編。2040年には、浜松市の人口が70万人を割ると予想されています。人口減少に加え中山間地域の過疎化など浜松市が抱える課題は山積しています。

© 静岡放送株式会社