七尾・一本杉通り商店「諦めん」 歴史的町並み、複数が倒壊 40軒ほとんど休業

倒壊した店舗の横を通って支援物資を運ぶ被災住民=4日午前11時40分、七尾市一本杉町

 七尾城の城下町として栄え、老舗商店が軒を連ねる七尾市の一本杉通りに地震の傷跡が深く刻まれている。歴史的な雰囲気が漂う町並みが特徴だが、築年数の長い複数の店舗が倒壊、ショーウインドーが割れたり、壁が剝がれ落ちたりした店も多い。約40軒ある商店はほとんどが休業中。4日、店の様子を確かめに来た商店主たちが久しぶりに顔を合わせ「諦めんとこうな」と互いに励ます場面があった。(政治部・朝長穂奈美)

 一本杉通りでは、通りの入り口にある中山薬局や、1892(明治25)年創業の高澤ろうそく店の一部が倒壊した。

 中山薬局では築約60年の2階建て店舗の1階部分がつぶれた。隣接する3階建ての家屋は残ったものの、壁の一部となっていた店が崩れて雨ざらしとなり、橋本秀和社長(79)らは避難生活を送る。

 橋本社長は「営業再開するには更地にして建て直さんなん。大変やけど、きちんとしてから子どもに継ぎたい」と前を向く。地震で額にけがを負った妻の淑子さん(76)も「たくさんの人に『頑張れ』って言われるの」と後押しを支えに営業の再開を目指す。

 晴れ間が広がった4日、店舗を見に来た商店主たちは互いに肩を抱き「店も家もかちゃかちゃ。続けられるかな」「一緒に頑張ろう」と涙を流しながら励まし合った。

 ポンプ店「宮下商店」の宮下三郎さん(61)は通りの中ほどにある鳥居醤油店で水道のパイプを修理。宮下さんは「なんとか一本杉の早期復興を手助けしたい」と話した。

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