大雪に続き完全孤立 能登町・北河内「ずっとおびえとらんなん」 寝たきり高齢者ら20人

崖が崩れ道路が寸断されている=4日午前11時50分、能登町北河内

 先月の大雪で孤立集落となった能登町北河内地区は能登半島地震による崖崩れで道路やトンネルが寸断され、再び「完全孤立状態」となった。電気も遮断された山あいの集落には、寝たきりの高齢者や愛犬を連れた家族ら約20人が身を寄せる。取材のため何とかたどり着くと、不安で夜も眠れないという住民は「ずっとおびえとらんなん」と身も心も疲弊しきっていた。(社会部・山科耀)

 北河内地区に通じるトンネルの入り口は、のり面が崩落して車では通れない。長さ806メートルのトンネルを歩いて抜けた。地区内の集会所を訪ねると、寝たきりの高齢者や愛犬を抱える住民ら5人が疲れ切った表情を浮かべ、石油ストーブで暖をとっていた。

 地区最奥部の上河内に向かおうとしたが、崩れ落ちた崖が高さ10メートルほどの壁となり、道を遮っていた。自営業の片村良一さん(57)は、上河内に15人が避難しているとし、「向こうのみんなは元気なんか。不安で仕方ない」と話した。

 上河内に避難している池田光正区長(73)と固定電話で通話すると、住民は、自宅の車庫やバス停の小屋に畳を敷いて過ごしているという。3日午前には、自衛隊員が支援物資を歩いて届けにきた。

 先月の大雪時に続く集落全体の孤立に住民は「またかいや」とうんざりしているという。池田さんは「1、2日なら何とかなるけど、寒波が来たら、どうにもならん。できるだけ早く道路を開通させてほしい」と不安そうに語った。

孤立した上に、度重なる余震におびえながら過ごす住民=4日午後0時半、能登町北河内

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