激震走る日本の政治資金問題、世界では…スイスで政治資金の透明化の動き

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。12月20日(火)放送の「New global」のコーナーでは、世界の政治資金問題・スイスの現状について取り上げました。

◆スイスは政治献金の報告義務なし!?

与党・自民党が政治資金問題に揺れていますが、果たして世界ではどのような状況なのか。この日の同コーナーでは、スイスに注目。一見、非常にクリーンな国だと思われていますが、実は政治資金に関しては汚職が起き得ると長年指摘されているとか。

というのも、ヨーロッパの欧州評議会に加盟する47ヵ国中、スイスのみ政治献金の報告義務なし、いわゆる政治資金収支報告書もありません。これに対し、欧州評議会の反汚職国家グループからは「いかなる民主主義であろうと政党や候補者に誰が資金を提供しているのかを有権者が知ることは重要だ」と度々物言いがあったものの、スイス議会で過半数を占める右派政党は「寄付者の匿名性やプライバシーの権利が傷つけられる」と反発。

そもそもスイスは日本と状況が大きく異なり、まず「政党助成金」がありません。政党・候補者の資金は民間に依存しており、政治家の給料は750万円程度で政治活動費などを含めても諸外国より低く、議員の3人に2人が兼業。経営者や弁護士の割合が高いといいます。その反面、選挙費用は高騰し続け、多くの議員が頭を悩ませているそうです。

そうしたなか、今年初めて政治資金を透明化した上で選挙が実施。10月22日に行われたスイス連邦議会総選挙では、初めて献金の額を制限。1万5,000フランを超える献金や、予算が5万フランを超える選挙活動についても報告を義務付けました。

「1万4,999フランの献金が増えるのではないか?」との懸念もありましたが、欧州評議会の反汚職国家グループの事務局長は「法のすり抜け行為は起こるがあくまで少数派、以前に比べれば透明性は高まる。違反があれば制裁する役割を担う組織もある」とスイスの進展を評価しました。

◆経済安全保障的にも"透明化”は必須!?

では、なぜスイスは今回、政治資金の透明化を決めたのか。その理由について、政府学者のゲオルク・ルッツ氏は「フェイスブックやロシアは倫理上、合法的かつ秘密裏にスイスの選挙戦に資金を投入できてしまう。これは今日では受け入れられない」と指摘。つまり、政治資金が不透明だと諸外国から政治家に介入する余地を与えてしまうことになり、現代においては透明性を高めることで国を防衛することにつながるから。

キャスターの堀潤は、「本来、経済安全保障に関してこれだけ議論している政府なのに……」と日本の現状を嘆きます。

元裁判官で国際弁護士の八代英輝さんは「選挙資金の透明性を安全保障の観点から考えるというのは私たちにはない発想だったが、それはとても大事なこと」とスイスの一件に興味を示します。そして、昨今フェイクニュースなどさまざまな問題に直面するなかで「やはり一番の私たちの武器は"透明性”だと思う」とも。

エッセイストの小島慶子さんは、スイスの政治家の多くが兼業であることに注目。「兼業で(政治家が)やれる人の職業は限られてしまうという問題もあるが、日本の議員の給与が高すぎることは予てから言われているので、スイスのような形もありかもと思う」との見解を示します。

microverse株式会社 CEOの渋谷啓太さんも政治家兼業制に賛同。「国の政治に兼業でも関わっていくことが美徳とされる風潮はすごくいいと思う」と言い、「僕ら世代の起業家は政治に興味があるが、仕事を辞める気がない人が多いので、優秀な人材が政治の世界に流れていくのはいい流れだと思う」と日本でも兼業政治家が認められることを望んでいました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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