フェラーリF1代表、FIAとチームの議論に否定的な姿勢。一方で「我々は協力し合うべき」と主張

 FIA国際自動車連盟の指導部とF1の10チームとの間の距離はここ数カ月ではるかに大きくなっており、コンペティターは公然とコマーシャル・ライツ・ホルダーの肩を持ち、モハメド・ビン・スライエムFIA会長のいくつかの動きに批判的だ。

 FIAスポーティングディレクターのスティーブ・ニールセンの突然の離脱は、このスポーツのレギュレーターとチームの間の溝をさらに広げることになりそうだ。このベテランのイギリス人は、パドックでは非常に尊敬を集め、多くのチームとうまく仕事をしてきた。彼はレギュレーションとスポーツの運営方法の改善することに関する議論の非常に有効な部分として、ドライバーやチーム代表らによって選ばれたほどの人物であり、FIA関係者に関して聞くのは珍しい賞賛だった。

 ニールセンがFIAを離れる前でさえ、各チームはビン・スライエム会長によるF1コミッショナーの役割の創設に対してひどく批判的に反応し、すでに形作られている構造がこのスポーツを機能させるのに充分すぎると信じていた。

 2026年のテクニカルレギュレーションとスポーティングレギュレーションが夏休み前に発表されることになっていることを念頭に、フェラーリや他のチームが今後1年間にFIAと議論したい主なトピックは何かと尋ねられたチーム代表のフレデリック・バスールは、FIAの指導部や新しく物議を醸すことになる代表と直接話す必要性については否定的な姿勢を見せているひとりだ。

「FIAとチーム間で議論が行われるべきかどうかはわからない」とフェラーリF1のボスは語った。

「我々にはF1委員会というガバナンス組織があり、2023年までうまく機能していた。個人的には、今シーズンを通しての主な問題は、意思決定の一貫性だと考えている。もっとも重要なのは、ファンがこのスポーツを簡単に理解できるということだ」

 このフランス人は続けて、オフィシャルの判定に一貫性がないことを示す明確な例を挙げた。「FIAによって下されたいくつかの決定、例えばトラックリミットの管理などはこの方向には進んでいない。(メルセデスのジョージ・)ラッセルはスチュワードから14回も呼び出されたが、ペナルティを受けることはなかった。これは規則が正しくないか、もしくはスチュワードがルールどおりに実行していないことを意味する」

「ファン、スポンサー、投資してくれるメーカー、そしてこのスポーツを信じてくれる株主に対して一貫性が必要だと思う。私たちの前には非常に重要なトピックがあり、その主たる議題は2026年にあると思うが、そこに向かうためにも彼らの多大な協力を期待する必要がある」

 同氏はまた、「すでにFIAの技術部門と私たちが一緒に良い仕事をしているように、我々は協力し合わなければならない」と、ニールセンと協力してFIAテクニカルディレクターを務めたニコラス・トンバジスについて直接言及し、そう結論づけた。彼はニールセンとともに過去12カ月間、FIAのために多くの良い仕事をしてきたが、現在はFIAをF1の他の部分と歩調を合わせるための戦いにおいて、もっとも親しい盟友を失っている。

FIAスポーティングディレクターのスティーブ・ニールセン

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