本格回復へ期待の声 茨城県内、企業仕事始め トップが年頭所感

年頭朝礼で従業員に訓話するカスミの山本慎一郎社長=つくば市西大橋

茨城県内の多くの企業で4日、仕事始め式が行われた。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に移行後初めて。経済が回復傾向にある一方、為替相場の円安や物価上昇が影を落とす。能登半島地震の影響も懸念される中、金融政策正常化への対応やコロナ禍からの本格回復を目指す各業界トップからは年頭所感で期待の声などが聞かれた。

■変化を好機に

常陽銀行の秋野哲也頭取はリモートで式に臨んだ。少額投資非課税制度(NISA)拡充や金融正常化に向けた流れといった今年見込まれる動きを見据え、「こうした変化は見方を変えると、顧客のニーズや課題が具現化する機会と捉えられる。チャンスと捉え、積極果敢に取り組んでいこう」と訴えた。

筑波銀行の生田雅彦頭取は「本年の干支(えと)は甲辰(きのえたつ)。勇ましく空に舞う竜のようにさらなる成長を目指し、第5次中期経営計画の集大成に向けグループ一体となって取り組んでいく」と意気込みを語った。

■真価問われる年

「いかに多くのお客さまに、安定した経営・生活を取り戻してもらえるかが重要となる」と話したのは県信用組合の渡辺武理事長。コロナ禍が収束に向かう現状を踏まえ、融資先の業況把握と資金繰り支援をさらに強める考えを示した。

結城信用金庫の石塚清博理事長は、社会経済活動が正常化に向かう中、「地域金融機関としての真価が問われる年になる」と気を引き締めた。「地元とともに心はひとつ」の理念を前に「全役職員は自らに高い目標を課し、不退転の決意を持って業務に臨むことを強く期待する」と職員らを鼓舞した。

■テーマ掲げ進む

昨年12月に創業後初めて社長が交代した香陵住販は、金子哲広社長が薄井宗明会長らと同市宮町の水戸東照宮で商売繁盛を願った。長引く物価高などの影響を受けるが「より良い商品を作って対応できれば。金利が不動産の購入を左右する重要な部分もあるので、注視していきたい」と見通した。

カスミの山本慎一郎社長は「毎日のお買い物に、たのしさを」という企業テーマを掲げ、「お客さまや従業員、取引先から役に立ち、必要とされる存在を目指す」と方向性を述べた。

JAグループ茨城・八木岡努会長は食料安全保障と気象変動対策という国レベルの政策を挙げ、「持続可能で高付加価値な茨城農業をつくっていきたい」と抱負を語った。

株式上場を目指しているJX金属の林陽一社長は「市場で評価されるためには、大幅な企業価値の向上が不可欠」と課題に触れた。「常に学ぶ姿勢を持ち、直面する多くの難題に上司・部下の垣根なく互いに教えあい、時には外部の新しい知恵を使っていくことが必要だ」と強調した。

仕事始めで水戸東照宮を訪れ、商売繁盛を願う香陵住販の金子哲広社長(左)ら=水戸市宮町

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