「前向きに」能登半島地震に励まし 「幸運の白いイノシシ」京都市上京区の神社に

幸運の白いイノシシ(京都市上京区・護王神社)

 イノシシにゆかりがある京都市上京区の護王神社に、幸運の白いイノシシが登場し、注目されている。同神社は、能登半島地震などが起きた年の始めに「少しでも気持ちを和らげ、前向きに進んでほしい」と願う。

 同神社の祭神・和気清麻呂が都から九州に流された際、300頭のイノシシに守られ、足も治ったと伝わる。同神社は「霊猪」とたたえ、境内には全国的にも珍しい「狛いのしし」が鎮座する。

 白いイノシシ「花梨(かりん)」は大分県の宝八幡宮で、突然変異とみられる白い親から2009年5月に誕生。イノシシと縁が深い同神社に譲られることとなった。名前は同神社の大木にちなむ。

 静岡県でイノシシなどを飼う移動動物園を手がける齋藤恒蔵さん(76)が訓練して育てている。年始には毎年、同神社に姿を見せる。14歳の花梨は体長1.1メートル、体重41キロ。イノシシとしてはかなり高齢だが、食欲旺盛で元気だという。

 4日にケージから出して散歩させると、居合わせた参拝者は「すごい」「白いイノシシだ」とびっくりしながら盛んに写真を撮っていた。散歩は1日数回行っており、運がよければ見られる。

 同神社のX(旧ツイッター)に投稿すると、7万の閲覧があり、「いいね」は2千を超えた。齋藤さんは「白いイノシシは本当に珍しい。ひどいニュースが続いているが、少しでも明るい気持ちになってもらえたらうれしい」と期待。本郷貴弘宮司は「縁起がよいと喜ばれている。暗い気持ちになりがちだが、心を和ませてもらい、イノシシのように少しでも前向きに進んでほしい」と語った。1月6日まで。午前9時~午後5時。

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