「状況はどんどん悪化。医療従事者は全く足りていない」被災地で医療救援にあたった医師が語る能登半島地震

1月4日夕方、石川県七尾市の能登総合病院にDMAT(災害派遣医療チーム)の一員として入った、名古屋大学病院の山本尚範医師に聞きました。

(DMATとして派遣 名古屋大学病院・山本尚範医師)
「発災から4日たっているが、2日間くらい今までの(DMATの)活動より遅れていると言われている」
「元日に起きたということで、初動が、全ての関係機関が遅いということがあるし、帰省していた人がけっこういたので、想定していた人口よりもかなり大きい数の人がいた」
「道路の状況が非常に悪い。特に能登半島の奥能登、北部の輪島や珠洲の方は、物資の搬入が難しいということでインフラの復旧が全く進まないので、病院自体が電気や水道などのインフラが厳しくなってきている」

3日、珠洲市の避難所となった小学校での住民たち。

暖をとりつつともに食事です。

そして、校内には愛知県大口町にある、さくら総合病院の小林豊院長の姿が。

8人のスタッフで医療救援です。

(さくら総合病院 小林豊院長)
「血圧のお薬は何種類飲んでいましたか?」

「2つ」

2日のうちに、まず珠洲市総合病院に入った小林院長ら。その後、各避難所をまわって被災者らの健康状態をチェックしたり、けがをした人の手当をしました。

(避難している女性 80代)
「とてもうれしいです。まだ(家屋から)出してもらえない人も町内にいるので…」

(さくら総合病院 小林豊院長)
「病院もパンクしているので、避難所で応急処置ができる方に対しては、われわれが訪問して応急処置をすることで何とか対応をしている」

珠洲市では、至る所で道に亀裂が入るなどして救急車両の通行も困難に。

4日まで救援活動にあたった小林院長は、5日に大口町の自身の病院で通常の診療に当たっていました。今、思うことは?

(さくら総合病院 小林豊院長)
「病院として必要な水のうち10分の1しか配給がない。採血検査するのにも水が必要。それが足りないということは、当然病状は悪化していくし、来る傷病者に十分な検査ができないということになれば、正しい評価・治療ができないので、状況はどんどん悪化している」
「働くドクターや看護師、メディカルスタッフ、事務員の人たちは文字通り不眠不休で、医療従事者としては全く足りていない。バランスが崩れてしまっている」

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