「もうスプーンは使わない!」と宣言したものの…意外と難しい“中古4番ウッド”探し

3番ウッド(3W/スプーン)は14本のクラブで扱いが一番難しいと言われている。だったら、少しカンタンに思える4番ウッド(4W/バフィー)はどうだろう?いきなり5番ウッド(5W/クリーク)からというのも勇気がいるので、“4Wで刻む”のをお勧めしたいが、中古市場を探してみたところこれがなかなか難しくて…。

そもそも 「3W」と「4W」の違いは?

平均的なロフト角が15度の「3W」に対し、「4W」は16.5度もしくは17度がほとんど。このロフト角の差は1番手というよりも、0.5番手程度の違いというのが正しいだろう。長さは3Wが43.25インチから43インチ、4Wは43インチから42インチとモデルによってばらつきがある。「3Wに近づけるべきか、5Wに寄せるべきか」という意図の違いがメーカーによって垣間見られる。

4W自体の中古在庫は圧倒的に少ないがトライする価値はある

ロフト、長さを考えても4Wは3Wに比べてやさしい要素が多いが、肝心のモノが市場に少ない。なにせ「4番」をラインアップするメーカーやモデルが希少で、特に日本市場ではこの傾向が強い。現在日本の大手メーカーの中で4Wをラインアップしているのはダンロップとヤマハ(レディース)の二社のみ。テーラーメイド、キャロウェイ、タイトリストという海外大手メーカーは、4Wや、3HLという4W同等のロフト角の製品をラインアップしているが、最近まで日本では販売しないメーカーも多かった。「人気がない→ラインアップに入れない」となり、「中古市場にもモノが少ない」という悪循環となっている。

ただし、その少ない在庫の中でも光るものはある。まず候補に挙がるのがキャロウェイの「ローグ ST MAX」(2022年)だ。前年のエピックスピードシリーズまで国内販売のなかった同社の4Wで、ロフト角が16.5度と小さめだが、ボールは上がりやすく扱いやすい。2万円前後で見つかる。また、PXGの「0311 XF GEN5」(2022年)は、ロフト角が17度、大きめのヘッド体積で慣性モーメントが非常に大きい。レアな4番を見つけるのは難しいが、4万円前後から見つかる。

ボールのつかまりの良さ、上がりやすさに定評があるダンロップ「ゼクシオ」(2021年)もオススメだ。ロフト角は16.5度。2万円台後半からが相場。

4Wをあきらめ「飛ぶ5W」を入れてみる

どちらも決してミスヒットに強くはないが、5Wとは思えない飛距離性能が魅力

3Wにないやさしさを追求するなら、飛距離性能に特化した5Wを選ぶのもアリだろう。4Wよりロフト角も大きく、クラブが短い分、ミートしやすくボールが上がりやすい。ミート率が上がれば、結果的にミスの多い3Wとそん色のない平均飛距離を出せるだろう。

ここでは前回「やめたほうが良い」と提案した、プロに人気の高いフェアウェイウッドが選択肢に入る。ヤマハ「RMX VD」(2021年)の5Wはロフト角18度、長さは42.5インチと当てやすさ、上がりやすさは十分。低スピンで飛ばせる。2万円台後半からが相場。

2022年度国内男子ツアー賞金王である比嘉一貴は、ボールが上がりにくいのを理由に多くの試合で3Wを投入しなかった。2023年の前半まではテーラーメイド「SIM」(2020年)の5Wを多用。ロフト角は19度と大きく、長さも42.25インチと短いが、チタンボディ、カーボンクラウン、ソールにはタングステンと低重心化が徹底されていて飛距離性能が高い。2万円台後半から見つかるだろう。

「飛ぶユーティリティ」でもイイはずだ

UTは重心深度が浅いのでスピン量が少なく、なおかつシャフトが短くてボールは浮きにくい。が、その分低スピン弾道の強い球が打ちやすくて飛ばせる可能性を秘めている

フェアウェイウッドにこだわらずに、「飛ぶユーティリティ」という選択はどうだろう?ヘッドスピードが速く、ボールを上げられれば、低スピンで飛ばせる可能性がある。クラブも短いので当てやすい。

キャロウェイ「APEX UW」(2022年)はロフト角の小さい17度、19度がラインアップされ、長さが41インチと短い。ユーティリティとしてはヘッドが大きめで安心感もあり、装着シャフトもウッド系で先端が細く、しなりやすい。石川遼らツアープロも使用するので決してやさしくはないが、飛距離性能は高い。2万5000円前後で見つかる。

ピン「G430 ハイブリッド」の17度(2番)もオススメだ。ユーティリティでは最大級の慣性モーメントでミスに強い。長さも40.75インチと扱いやすい。カーボンクラウンとなって前作より低スピン感も増した。3万円前後から見つかるだろう。

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3Wが打てないなら4W…と思うのはゴルファー心理。ただし生産メーカーが限られた少ない選択肢(4W)の中から選ぶよりは、番手表示にこだわらず、ロフトや長さを意識して「飛ぶ5W」や「ユーティリティ」を探すのも手だ。地面から安心して、一番遠くに飛ばせるクラブをゲットすることが、そもそもの目的のはずだから。(文・田島基晴)

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