射水・新湊のカニ漁操業困難 海底地形変化し籠流れたか

新湊沖でカニ籠の被害を確認し、港に戻った漁師たち=5日午前11時50分ごろ、新湊漁港

 能登半島地震で、富山県射水市の新湊沖に仕掛けられたカニ籠(かご)に被害が出たことが5日、分かった。海底の地形が変わって流されたり、泥に埋まったりしたとみられ、当面の操業は難しい状況だ。「高志の紅(あか)ガニ」としてブランド化されているベニズワイガニの水揚げが最盛期を迎えているだけに、漁師は「かなりの痛手」と嘆く。

 新湊漁協所属のカニ籠漁船は4隻あり、現在は3隻が操業する。同漁協によると、3隻のうち2隻が5日に出漁したが、海底に設置した籠を発見できなかった。残る1隻は初競りが開かれる6日に出漁し、状態を確かめる予定という。

 カニ籠漁は、ロープに連ねた数十個の籠に餌を入れ、水深800~千メートルの海底に沈めてカニを誘い込む。同漁協は、海底の地形の変化で籠が移動した可能性があるとみている。

 カニ籠漁船「久栄(きゅうえい)丸」船主の塩谷久雄さん(63)は、富山湾の急峻(きゅうしゅん)な地形に着目し「湾の上部から泥が流れ落ち、籠が埋まったのかもしれない」とみる。「これでは商売にならない。1月は稼ぎ時なのに…」と天を仰いだ。近く、予備の籠を海底に沈めて操業再開の準備を進める。

 新湊沖では、定置網の位置や形をとどめる海底の重りが地形の変化で動き、網の形状が変わるなどの被害も多発している。

 こうした状況に、水産仲卸業の孫七・川田水産(射水市八幡町・新湊)の川田有二社長は「今後も順調に水揚げされるのか、漁に携わる者として心配している。水揚げが減れば当然、売り上げの確保も難しくなる」と話す。

 同漁協の塩谷俊之組合長は「人的被害がなかったことが不幸中の幸い。前を向いてやっていくしかない」と語った。

定置網全て損傷、ホタルイカ漁縮小 富山の水橋漁民合同組合

 富山市の水橋漁民合同組合が管理する5カ所の定置網が全て損傷したため、同組合は3月からのホタルイカ漁の規模を縮小せざるを得ない状況となっている。被害額は6千万円以上で、水橋漁港の荷さばき施設周辺の地盤沈下や船揚げ場のひび割れも見つかった。

 同漁港の水揚げ額は年間約2億円で、大半がホタルイカ。安倍久智組合長は「組合員の生活が心配。若い漁師の離職も懸念される」と話した。

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