上級農業経営アドバイザー 水戸の松崎さん、税理士で茨城県内初 「適正利益のお手伝いを」

塙博光代表から今年の鉢花の出来具合について話を聞く松崎恭生さん(右)=笠間市大渕

農業者の難易度が高い経営課題を裏方から支える茨城県2人目の「上級農業経営アドバイザー」が誕生した。合格したのは同県水戸市の税理士、松崎恭生さん(60)。税理士としては茨城県で初めて。松崎さんは「もうかる農業でないと仕事として継続できない。適正な利益が達成できるようお手伝いをしていきたい」と意気込む。

父親の睦生さん(故人)は県立水戸農業高で教師を務めていた。松崎さんは「農業は茨城の基幹産業。自分も農業分野に父とは別の形で貢献したい」と、税理士業の傍らで勉強を続け、2014年に農業経営アドバイザーの試験に合格。さらに23年11月、念願の上級農業経営アドバイザーの試験に合格した。全国から農業経営アドバイザー22人が受験し、合格者は松崎さんを含めて8人だった。

松崎さんは現在、県内のトマトやメロン、野菜などの農家、干し芋生産者、酪農家、花き園芸農家など15の個人・法人で経営アドバイスを行う。「一口に農業の経営課題といっても1件ずつ違う」と難しさを指摘しながらも、「(畑やハウスなど)現場を見て働く人の声を聞くことを大事にしている」と力を込める。

担当先の一つ、カーネーションなど10品目以上の鉢花を手がける「はなわ園芸」(同県笠間市、塙博光代表)では、税理士として経理を手伝いながら約2カ月に1回、経費の見直しや5年、10年後を見据えた経営アドバイスを行っている。塙代表は「客観的に(自分と違った)別の視点で、今後の経営を見てもらえるのでありがたい」と話す。

同アドバイザー制度は、日本政策金融公庫(東京)が創設。同水戸支店によると、農業経営アドバイザーの資格保有者は23年1月現在、全国で4492人、このうち茨城県では40人が活動。上級農業経営アドバイザーは22年11月現在、全国で112人が活動している。茨城県では11年に民間金融機関の職員が初めて合格した。

同支店は「県内の農業経営者が抱える高度な経営課題に対し、適切なアドバイスや農業経営アドバイザーへの助言指導などを期待している」とコメントした。

© 株式会社茨城新聞社