兵庫県北部になぜ「津波警報」出た? 両隣の京都、鳥取は「注意報」なのに… 能登半島地震

潮位を観測している津居山港の検潮所=兵庫県豊岡市小島

 1日に発生した石川県・能登半島地震では、兵庫県の但馬地域でも最大で震度4を観測し、1~3メートルの津波が予想される「警報」が出された。隣接する京都府と鳥取県の「注意報」(20センチ~1メートル)とは対照的だった。なぜ、「飛び地」のように発表が異なったのか。(阿部江利)

 大阪管区気象台によると、兵庫県北部での警報の発表は、津波予想が現在の区分となった1999年以降で初めて。津波警報に相当した「弱い津波」も、64年の新潟地震で発令されて以来という。

 気象庁や神戸地方気象台によると、津波の警報、注意報は、全国の沿岸を66に分けた予報区ごとに、予想される津波の高さと到達予想時刻が出される。このうち、兵庫県には北部(日本海沿岸)と瀬戸内海沿岸、淡路島南部の三つの予報区がある。

 予想される津波の高さは、さまざまなシミュレーションの結果などを蓄積したデータベースをもとに、地震の規模や震源の位置などを入力して予報区ごとに算出される。

 今回は、両隣の府県が注意報だった中、兵庫県北部の予想津波高は1~3メートルと算出されて警報となった。警報と注意報の判断を分ける予想津波高は1メートル。海底地形の違いなど、いろいろな要因が影響したとみられる。

 到達する津波は、気象庁などが設置する「検潮所」で観測される。津居山港では、満潮時刻が迫っていたこともあり、1日午後の5時41分に20センチ、6時23分に30センチ、同53分に30センチ、7時20分に40センチと、時間を追って津波の観測値も大きくなった。気象庁は「津波は繰り返し襲い、後から来る津波の方が高くなることもある」「津波の力は非常に強く、高さが50センチ程度の津波であっても立っていられず、流されてしまう」と呼びかけ、日ごろからの備えや迅速な安全確保を求めている。

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