野鳥観察の男性、コウノトリ撮影でため池来るも姿なし すると、別の絶滅危惧種が「独り占めできた気分」 兵庫

ため池に飛来し、餌を探すクロツラヘラサギ=12月20日午後、明石市西部(藤本清司さん提供)

 へら状の長いくちばしと目の回りが黒いことが特徴の「クロツラヘラサギ」が兵庫県明石市西部のため池に飛来した。国内では越冬のために九州以南を中心に訪れるとされる絶滅危惧種で、同市の藤本清司さん(73)が撮影した。

 コウノトリ目トキ科の鳥で全長約75センチ。日本野鳥の会によると、4~7月の繁殖期を朝鮮半島や中国東部で過ごし、九州や台湾、ベトナムなどで越冬する。

 「環境省レッドリスト2020」では、近い将来に絶滅の危険性が高いとする「絶滅危惧IB類」に指定されている。一方で、世界的に保全活動が進み、2023年1月にアジア各国が合同で実施した調査では前年より約500羽多い6633羽が確認されるなど、個体数は増加傾向にある。

 藤本さんは12月20日昼、前日に目撃したコウノトリを撮影しようと市内のため池を訪問。コウノトリの姿はなかったが、ヘラサギとともに池に立ち、くちばしを水に突っ込んで魚を食べるクロツラヘラサギに出くわした。

 野鳥観察を始めて約2年という藤本さん。「他に撮影している人もおらず、独り占めできた気分でラッキーです」と話した。(谷川直生)

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