被災地で道路寸断「支援遅れている」 能登半島地震、研究員が指摘 7日から雪の予報

地震の影響で、迂回路も渋滞が続いている=6日午後、石川県七尾市(撮影・風斗雅博)

 能登半島地震の被災地では道路が寸断され、迂回路も渋滞するなど厳しい交通状況が続いている。7日からは雪の予報で、さらなる悪化も予想される。被災地に入った「人と防災未来センター」(神戸市中央区)の職員は「相当に支援や救助が遅れている。応急処置で構わないので、現地に入れるルートを早急に増やすことが必要だ」と指摘する。

 同センターは行司高博研究部長(55)ら3人を、地震翌日の2日から石川県輪島市や七尾市などに派遣。3日は最北の珠洲市を目指したが、余震で土砂崩れが起きて途中で引き返した。手前の穴水町で活動したが、町の中心部でも電気や水が乏しく、インターネットも通じにくい状況で、自衛隊による人命救助が続いていた。

 北へ向かうほど道路の被害は激しく、陥没にはまって動けなくなったり、パンクしたりした車が何台もあった。

 能登半島は三方を海に囲まれ、付け根部分が細い。「向かうにも利用できる道路が限られている」と行司部長。「他府県から応援に入った職員に避難所などの対応を任せ、土地勘のある被災地の職員が道路の復旧に注力できる態勢づくりを急がなければ」と強調する。

 珠洲市をカウンターパート方式で支援することになった兵庫県は5日夕、職員2人を現地に向かわせた。県によると、被災地の一番の課題は支援物資の不足。水や食料は現在の2倍必要で、ガソリンや灯油などの燃料も足りていないという。

 物資の割り振りをする人手や、避難所を運営する人員も不足しているが、道路の交通事情などから、社会福祉協議会が開設する珠洲市災害ボランティアセンターは、まだ一般ボランティアを受け入れていない。 (井川朋宏、高田康夫)

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