タコ漁、鎌倉-室町期も盛んだった? タコつぼ窯跡が明石・江井島の遺跡から出土

鎌倉から室町時代に使われていたとされるマダコつぼの窯跡=明石市大久保町江井島(明石市提供)

 鎌倉から室町時代にマダコつぼを焼いていたとみられる窯跡が、兵庫県明石市大久保町江井島で見つかった。市内では初めての発見で全国的にも貴重という。市の担当者は「タコ漁が盛んに行われるこの地域の窯業生産の実態が分かる貴重な資料だ」と語る。(谷川直生)

■文化博物館で調査成果を展示中

 窯跡が見つかったのは、市立江井島小の南西200メートルの赤根川沿いで、宅地造成工事を行う現場。これまでに13~14世紀ごろの須恵器のかめやこね鉢を生産する穴窯が見つかった魚住古窯跡群の赤根川支群に位置する。工事前の昨年9~11月、市が発掘調査をした。

 見つかった窯跡は2基で、いずれも長軸約2メートル、短軸約1メートルの楕円(だえん)形だった。底部の土に焼けた跡が確認された。壁の部分は残っていなかったが、おけ状の平窯だった可能性があるという。

 複数の土師(はじ)器のタコつぼが等間隔に並べられ、焼き台に使われたとみられる須恵器の破片も見つかった。タコつぼの側面と底面には縄かけや水抜きのための穴が開けられており、これまでに見つかっている江戸期以降のマダコつぼとは特徴が異なるという。

 市文化・スポーツ室の稲原昭嘉さん(61)は「須恵器と同じ場所で生産されており、同じ職人が携わっていたのではないかと想像が膨らむ。また、当時からマダコ漁が盛んに行われていたこととも結び付く明石らしい発見だ」と話した。

 出土したタコつぼや須恵器の破片、窯跡の写真などの調査成果は2月18日まで、市立文化博物館(明石市上ノ丸2)で展示されている。

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