淡路の閉校した小学校から、持続可能なファッション発信 大阪の商社「増見哲」が複合施設オープン

校舎の1階に位置するギャラリー兼ショップ=淡路市江井

 7年前に閉校した淡路市立江井小学校(兵庫県淡路市江井)の校舎が、環境に優しいファッションを発信する複合施設「ei-to(エイト)」に生まれ変わった。「サステナブル(持続可能)」をテーマに、服飾の専門商社「増見哲」(大阪市)が運営。布を裁断する際に残る切れ端を出さないようにして作ったかばんなどが並ぶショップや、好きな絵柄をTシャツにプリントできる工房などを備え、新たな魅力発信の拠点を目指す。(中村有沙)

 同社は、ファスナーやボタンなど服飾資材の卸売りや、かっぽう着の独自ブランドを展開している。

 創業者は増見喜一朗社長(49)の祖父で、同校の卒業生。増見社長がブランドの発信拠点を探していたところ、市が同校の利活用業者を公募していると知り、縁を感じて手を挙げた。

 同校は、少子化のため2017年3月に閉校。校舎は鉄筋コンクリート造り3階建てで、延べ床面積約2千平方メートル。同社は校舎と運動場の一部を購入し、新施設を整備した。

 1階の大部分を占めるのがギャラリー兼ショップ。同社のかっぽう着ブランド「kapoc(カポック)」の商品や、生地の切れ端を出さずに作ったかばんなどを販売する。

 売れ残ったセーターをほどいた糸を使って仕上げたブランケットも、今後の商品化を視野に展示する。

 Tシャツに好きな絵柄や文字をプリントできる工房には、持ち込みが可能。増見社長は「プリントを加えることで、より愛着を持って長く使ってもらうことにつなげたい」と話す。

 地域住民が気軽に集えるよう、カフェも設けた。

 さらに、2階には江井の町を表現したミニチュア模型などを置く展示室、3階には撮影スタジオなどを備えた。

 「いつも、繊維業界の中で環境のためにできることを意識している」と増見社長。「地元の人にも、そうした意識で取り組むものづくりを応援してもらえればうれしい。気軽に入ってきてもらいたい」と願う。

 江井地区長の岡孝光さん(69)は「増見社長が地元も会社も共存共栄の精神でやっていくと言ってくれたので、応援したい。江井の町にとってプラスになるだろう」と期待を込めた。

© 株式会社神戸新聞社