クルーズ船の青森県内寄港 予約数既に45回/24年、過去最多更新へ

2023年3月に青森港に入港した外国クルーズ船。24年は過去最多のクルーズ船が青森県入りする見通しだ(東奥日報のドローンから撮影)

 2024年のクルーズ船の青森県内寄港が、23年12月末現在の予約数で過去最多の45回に上る見通しとなっている。最多更新は2年連続で、乗客の観光周遊や飲食、土産購入などの消費による地域経済への波及効果が見込まれる。新型コロナウイルス禍で中断していた外国クルーズ船の受け入れが日本を含むアジア諸国で本格的に再開したことで、全国各地で寄港数が増加しており、県や地元関係者はさらなる寄港増に向けて対策を練る。

 県港湾空港課によると、各運航会社の24年の寄港予約は青森港42回(外国船38回、国内船4回)、八戸港3回(外国船1回、国内船2回)。これまで県内に寄港したことがない総トン数14万トン級の大型船も訪れる予定という。

 青森港新中央埠頭(ふとう)から徒歩圏内にある青森市の「ねぶたの家ワ・ラッセ」は、クルーズ船客の定番スポットで、寄港数の増加は売り上げ増につながる。施設内で土産物店を運営する青森市物産協会の當麻洋部長は「Tシャツやマグネットなど外国人に人気のねぶた関連グッズの在庫を増やしたい」と期待を込めて語る。

 県内ではコロナの影響でクルーズ船の運航中止が相次ぎ、20年の寄港はゼロ、21年は1回、22年は4回にとどまった。23年3月に日本国内での外国クルーズ船受け入れが再開し、寄港数が大幅に回復している。

 県港湾空港課の担当者は「アジアは欧米に比べて寄港再開が遅かったが、その分、周遊先としての期待が高まっている」とみる。寄港をさらに増やすには、青森港近くの県観光物産館アスパムでのイベント開催や、青森市中心街を散策するクルーズ船客を案内する仕組みといった受け入れ態勢の充実が必要とする。

 県、青森市などで組織する青森港国際化推進協議会は同港の「年間寄港100隻」を目標に掲げている。鳥谷部眞実副会長は「受け入れ態勢に対する乗客の声を吸い上げるとともに、セールス活動で弘前さくらまつりや五所川原立佞武多(たちねぷた)など各地域の個性を運航会社に伝えたい」と語る。

© 株式会社東奥日報社