吸い殻ポイ捨て原因か、魚大量死の野外水槽が大復活 「喫煙者を悪者にするな」の批判乗り越え

たばこの吸い殻による魚の大量死を受け、再発防止策を講じてリニューアルした野外水槽展示(京都市右京区・花園教会水族館)

 京都市右京区の花園教会水族館で、たばこの吸い殻が原因とみられる魚の大量死を受けて中止していた野外水槽展示が復活した。再発防止策が講じられ、横幅が2メートル40センチ、高さ2メートル60センチと大迫力の水槽にリニューアル。水中をのびのびと泳ぐニシキゴイやフナ、モロコが観察でき、通行人の目を引いている。

 花園教会水族館は淡水魚や爬虫(はちゅう)類など約190種類を飼育、土日午後に無料開館している。野外水槽は閉館中でも魚を観察できることから、子どもたちから人気を集めていた。

 だが2023年6月、飼育していた魚の9割が死に、水槽からたばこの吸い殻が見つかった。故意に入れられた可能性もあるとして、館長で牧師の篠澤俊一郎さん(43)は断腸の思いで野外水槽を撤去した。

 ポイ捨ての注意喚起をと思い、篠澤さんがX(旧ツイッター)上で一連の出来事を発信したところ、想像を上回る反響があった。励ましのメッセージ、水槽がなくなることへの惜しみの声。中には「喫煙者を悪者にするな」といった怒りのこもった批判もあったが、水槽の復活に協力を申し出る人が現れたこともあって、篠澤さんはクラウドファンディング(CF)に挑戦。目標金額の150万円を超える、238万円が集まった。

 水槽は当初1台の計画だったが、資金が多く集まったことからもう1台追加した。縦90センチ、横2メートル40センチと、縦84センチ、横2メートル10センチの2台が上下に置かれた。新たに屋根も設けられ、対策として監視カメラも設置した。

 12月10日に完成を祝うセレモニーが行われ、関係者らが再開を祝った。篠澤さんは「水槽を再び設置する機会を与えてくださって心から感謝している。この水槽は、善意の集大成です」としみじみと語った。

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