松原さん、ファンと交流 地震「気が気じゃなかった」 「松原展」8日まで

来場者と交流する松原さん(手前右)=高岡市立博物館

  ●地元・高岡でサイン会

 「富山新聞アニメEXPO」のメイン行事「松原秀典展」(富山新聞社主催)のサイン会は7日、高岡市立博物館で開かれ、同市出身のアニメーター松原さんがファンらと交流した。能登半島地震について「富山に来るまで気が気じゃなかった」と語り、被災地の状況を気に掛けて心を痛めた。松原展は8日までで、最終日もサイン会を開いて、訪れた地元ファンらを勇気づける。

 サイン会には、午後2時の開始前から多くのファンが訪れた。物販会場で500円以上購入した先着約150人に松原さんが応じた。一人一人に声を掛け、記念撮影に納まるなどして、来場者を喜ばせた。

 松原さんは地震発生時、東京で親族と集まっており、富山県も大きな被害を受けたことに驚いたという。富山の知人に電話をかけたり、メッセージを送ったりして安否を確認した。

 サイン会には、復旧のさなかにある被災地のファンの姿もあった。七尾市の中学の教諭、野師本悦子さん(23)=中能登町=は小矢部市の実家に帰省中で「目を背けたくなる現実ばかりだが、作品に触れている間は心が落ち着いた」と語った。8日に七尾へ戻ると聞いた松原さんは心配そうな表情を見せ「頑張ってください」と励ました。

 会社員の道下政功さん(21)=高岡市伏木古府=は、連休中に家族が営む店の復旧作業を進めており、「いろいろあったけど松原さんに会って元気をもらった」と笑顔を見せた。

 春から東京のアニメ制作会社に入社する長男が地震の影響で来られなくなった会社員坂田聖さん(59)=金沢市百坂町=は「長男がアニメーターになる」と松原さんに報告。「ペン1本で描かれた松原さんの原画は奇跡のようだった」と話した。

 松原展は最終日の8日も午前9時~午後5時に開催。入場料は一般千円、中高生500円、小学生以下無料。サイン会は午前10時~正午にあり、物販会場で500円以上購入した先着150~200人に参加券が1人1枚配られる。

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