浅虫温泉(青森市)活性化、住民も一丸 毎月末マルシェ 若手有志ら奮闘

道の駅「ゆ~さ浅虫」で毎月開かれる「あさむし月末マルシェ」。2023年12月24日のクリスマスマルシェでは、浅虫町会軽音楽部が懐メロ演奏で盛り上げた
雑貨や飲食のブースが並ぶ「あさむし月末マルシェ」=2023年12月24日

 官民ファンド・地域経済活性化支援機構による事業再生支援を受け、にぎわい復活へ動き出した青森市の浅虫温泉街。宿泊施設の事業再生が進む傍ら、住民たちも浅虫を衰退の危機から守ろうと奮闘している。地元住民が住み続けたい、観光客がまた来たいと思える街に-。有志たちの地道な活動が浅虫活性化を後押しする。

 昨年12月24日、道の駅「ゆ~さ浅虫」では、毎月恒例の「月末マルシェ」が開かれていた。飲食店や雑貨のブースが出店されていたほか、有志らによる演奏会が会場を盛り上げた。主催するのは浅虫まちおこし応援団「がっちゃんこ」。代表を務める井上丹(あかし)さん(40)ら地元出身の若手有志らが、母校の閉校をきっかけに「このまま浅虫を廃れさせてはいけない」と2017年に結成した。

 若手の熱意で生まれた「がっちゃんこ」だが、活動の広さや派手さは重視していない。「既にある浅虫の良さを発信することがスタートだから」と井上さんは語る。それでも、月末マルシェは安定した来場者数を集め、リピーターや観光客の来場も増えているという。さらに「地域の子どもたちに名前を知ってもらえるようになった」と、うれしい成果も聞こえる。

 同団体の存在は、住民の高齢化、街の衰退が進む浅虫地区に変化をもたらしつつある。浅虫町会の阿部悠二会長(78)は「若い人たちの力が加わったことで、新しい動きが出てきた。町会としてもできることは何でもやってみようと、地域の人が楽しめそうなイベントは受け入れるようにしてきた」と話す。

 有志らが街の活性化に取り組む中で動き出した、宿泊施設の再生事業。浅虫まちづくり協議会の石木基夫会長(67)は「新型コロナウイルス禍で観光業は苦しかっただけに、(再生事業は)最後の切り札になるのでは」と期待を寄せる。一方で「(宿泊施設だけではなく)地域が一体となって魅力ある浅虫にできなければ、観光客は集まらない」との不安もある。

 地域住民や団体、事業者らを“つなげる”役目を担うべく結成された「がっちゃんこ」。井上さんは「素朴な温泉街の良さを残しつつ、地域で連携したまちづくりをしたい。地元の人が生き生きしていれば、自然と人が集まる街になるはず」と信じている。宿泊施設と地元住民、一丸でのまちづくりが浅虫再生への鍵を握る。

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浅虫温泉の事業再生支援 官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)が2023年3月、青森市浅虫温泉地区にある南部屋旅館、ホテル秋田屋、椿館の3社の事業再生支援を発表。同6月に、再生支援を受ける3社と金融機関、地元観光関連会社などが出資し、観光地経営会社(DMC)の「MOSPAあさむし共創プラットフォーム」を設立した。MOSPAは3社の各施設の経理や運営業務を請け負い、経営の効率化などを進める。同機構が再生支援するのは5年以内。

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