選手権初優勝ならずの近江・前田高孝監督、教え子には「過去を振り返ることなく生きていってほしい」

選手への想いを語った前田高孝監督[写真:©超ワールドサッカー]

近江(滋賀)の前田高孝監督が青森山田(青森)との決勝戦を振り返った。

8日、大会初優勝を目指して第102回全国高校サッカー選手権大会の決勝戦に臨んだ近江。1点ビハインドで折り返す展開となりながら、途中出場のMF山本諒のゴールで後半開始早々に追いついたが、その後に2失点を喫し1-3で敗れた。

しっかりと対策してこの一戦に挑んだという前田監督は、青森山田の上手さを「ピッチの上で、100x68mの中で、最短最速に技術を発揮するチーム」と表現。「コンパクトなフィールドを作りながら、局地的に局面で勝って、勝率を少しでも上げるってことを意識しながらやりました」とこの試合で意識していた部分を振り返った。

さらに前田監督は「本当に選手たちは一生懸命サッカーやってくれました」と教え子の健闘を称える一方で、「彼らの頑張りを結果に結び付けられなかった指導者としての未熟さが出たゲームだったなという風に思います」と、自身としては後悔の念も口にした。

0-1で試合を折り返した点については、「(今大会中)ハーフタイムに『よくやった』なんて初めてですよ」とプラン通りの展開だったことを告白。しかし、後半の2失点については「僕らが(前に)いったところを逆に仕留められるというのであれば、やっぱりすごいですよね青森山田」と王者の強さに改めて感心した。

近江にとってはこれが初めての決勝戦。前田監督は準優勝という結果についての感想を述べつつ、教え子たちの今後のさらなる成功も願った。

「彼らはあと1勝したかったですし、非常に難しいですよね。よくやったっていう面もあれば、あと一歩足りなかったっていう面もあります」

「ただ、次の世界がある、次の目指すべき場所があるっていうことで。3年生にとっては卒業になりますので、選手たちには次の場所で過去を振り返ることなく生きていってほしいなと思ってますね」

日大藤沢、明秀日立、神村学園と強豪校を次々と撃破して勝ち上がってきた近江。「仲間の絆も深まっとったし、かっこいいチームになったなっていう感じです」と今大会での成長ぶりも振り返った前田監督は、選手たちにこの瞬間にとらわれないでほしいと強調した。

「まだ(選手たちには)会えていないんで、今からゆっくりと、彼らが落ち着いてから話をしようと思っています。その話っていうのは申し訳ないですけど、彼らの顔を見ないとわからないところではあります」

「間違いなくよくやったし、一番(大事なの)は優勝しても準優勝しても過去のことを引きずって『俺らの時は良かったな』とかじゃなく、今を生きるっていうことですよね」

「本当にありがとうございました。メディアの方も踏まえて選手たちを育てていただきましたんで、また何十年後かに帰ってこれるようにがんばります」

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