成人の日の8日、兵庫県内各地で20歳の門出を祝う式典が開かれた。神戸市では、間もなく発生から29年を迎える阪神・淡路大震災と、能登半島地震の犠牲者に黙とうがささげられ、晴れ着姿の若者は目を閉じて被災地に思いをはせた。
県内で対象となった20歳は計5万3399人。過去40年間で最も少なかった。式典は3日の佐用町を皮切りに、7、8日の両日に実施された。新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、多くの自治体が4年ぶりに会場の入場規制などを解除した。
神戸市はノエビアスタジアム神戸(神戸市兵庫区)で式典を行い、振り袖やはかま、スーツ姿の若者約8800人が式の冒頭、震災の犠牲者らに30秒間の黙とうを行った。
白を基調にした和服生地のドレスに身を包んだ京都芸術大2年の女子学生(19)=神戸市長田区=は「能登の地震の時は(長田区の)親戚宅にいて、親族が皆29年前を思い出して動揺していた」と振り返り、「紡がれてきた神戸の歴史を忘れず、人の痛みに共感し、傷ついた人を守れる大人になりたい」と誓っていた。(前川茂之、勝浦美香)